コンチネンタルGTの成功に拍車をかける存在
ベントレーがフォルクスワーゲン・グループに入った後に登場したコンチネンタルGTは、フェートンと同じ系譜を持つW12気筒エンジンと、アウディ・クワトロの流れを汲むフルタイム4WDシステムを搭載するという、フォルクスワーゲン・グループの技術が生かされたクルマだった。しかもスタイリングは丸みを帯びた、まったく新しいフォルム。歴史を重んじるユーザーがこれをどう受け入れるか、送り手側がかなりの緊張感を持っていたことは想像に難くない。
しかし蓋を開けてみればこれが大好評。ベントレーとしては手頃な2000万円クラスというプライスも効を奏したようで、新しい顧客の獲得に成功した。事実、コンチネンタルGTは日本でも好調な販売を示している。
となれば、その成功に拍車をかけようと考えるのは当然の成り行き。かくして今回のジュネーブで発表されたのが、GTの4ドアバージョンとも言える、コンチネンタル フライングスパーというわけである。
メカニズムのほとんどはコンチネンタルGTと共通で、搭載されるW12ツインターボは560ps、66.3kgm(650Nm)というスペック。ZF製の6速ATを介し、4輪で駆動されるこのクルマの動力性能は、0→100km/h加速5.2秒、最高速312km/h。相変わらずの俊足ぶりである。
GTとの最大の違いはパッケージング。スリーサイズは全長5307mm×全幅1920mm×全高1479mm。全長と全高が拡大されているのは4ドアならではだ。ホイールベースは実に320mmも延長され3065mmになった。その余裕は当然ながら後席空間に割り振られ、余裕で足が組めるほどのレッグルームを実現している。
コクピットまわりはコンチネンタルGTとほぼ同じ成り立ち。後席はセンターコンソールがフロントから延長される4人乗り仕様と、通常の5人乗り仕様をチョイスできる。室内の調度にはイギリスの超高級ブランドらしく、職人の手作業と究極の天然素材がふんだんに使われており、ユーザーの好みに応じたカスタマイズにも対応する。
販売はすぐに開始され、日本には秋頃に上陸の予定だ。(文:石川芳雄/Motor Magazine 2005年5月号より)
ベントレー コンチネンタル フライングスパー(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:5307×1920×1479mm
●ホイールベース:3065mm
●重量:2475kg
●エンジン:W12DOHCツインターボ
●排気量:5998cc
●最高出力:560ps/6100rpm
●最大トルク:650Nm/1600rpm
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:6速AT
※欧州仕様