限定エリアでの走行であれば、ドライバーが不要となる自動運転レベル4
2019年10月に開幕したばかりの東京モーターショー2019をはじめとする世界の自動車ショーで、各自動車メーカーが自動運転技術の開発状況を必ずと言っていいほど発表している。乗用車メーカーだけでなく、大型トラックやバスのような商用車メーカーも発表・実証実験をスタートするなど、しのぎを削っている。
そんななか、トヨタが自動運転レベル4(高度運転自動化)の自動運転実験車を使用して、一般人を対象とした同乗試乗を2020年夏に実施することを発表した。6段階ある運転自動の定義(SAE)の中でレベル4とは、限定エリアで車両システムがすべての制御を行い、ドライバーが不要になる段階のこと。
レベル0(運転自動化なし):ドライバーがすべての運転操作を行う
レベル1(運転支援):ハンドル操作、もしくはアクセル/ブレーキの操作をアシスト
レベル2(部分的運転自動化):ハンドルと加減速の制御を車両システムがアシスト
レベル3(条件付運転自動化):限定エリアですべての運転制御を車両システムが行う。ただし、緊急時を含む不測の事態でドライバーが対応
レベル4(高度運転自動化):限定エリアですべての運転制御を車両システムが行う。ドライバーは不要
レベル5(完全運転自動化):すべてのエリアで運転制御を車両システムが行う。ドライバーは不要
トヨタは2019年1月、レクサス LS500hをベースに自動運転レベル4を達成した自動運転実験車「TRI-P4」を発表しており、すでにアメリカ・ミシガン州やカリフォルニア州の公道で試験走行を実施しているという。
日本での同乗試乗もこのモデルを使用し、舞台となるのは東京・お台場エリア。クルマの交通量だけでなく観光客や住人を含む歩行者、自転車の通行も多く、さらに道路周辺にはガラス張りのビルがいくつか存在するなど、自動運転車両にとって条件の厳しい環境だ。ここを会場にするのだから、トヨタの自信がうかがえる。ただし、本来ドライバーを必要としないレベルであるが、万が一に備えてセーフティドライバーが運転席に座るという。
この同乗試乗は来年の2020年7月から9月の期間に開催される予定。参加者については「ご登録をいただいたうえで決定する予定になっております」と公表しているものの、具体的な登録方法は示されていない。追加情報を待つ必要がある。
今回の発表について、アメリカでAIや自動運転などの研究開発を行うTRI(Toyota Research Institute,Inc.)のCEO兼、トヨタ自動車のフェローであるギル・プラット氏は「お台場の複雑な交通環境で自動走行を成功に導くということは、限られた短い時間の中で技術をより早く向上させるという、高い目標を自らに課すことにほかなりません。今回の同乗体験の実施に向け、TRIはトヨタ自動車の先進技術開発部門と東京に本拠を構え、P4の自動運転ソフトウェアの実用化を担当しているトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)とともに一体となり開発を進めています」とコメントした。