100年に1度の大変革期を迎えている自動車業界は、「CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)」を中心とした技術革新の競争の激化に注目が集まった。そして2020年は、それらの実用化に向けたさらなる進歩が求められる。そこで2020年に注目される自動車産業におけるキーワードをいくつかピックアップし、それらがどのように自動車社会に貢献するのかを解説しよう。【2020 自動車キーワード】の第1回目は「自動運転レベル3」を紹介したい。2019年12月1日の「道路交通法」と「道路運送車両法」の改正により、自動運転レベル3機器の保安基準と、システムの運転時の事故の所在が明確になった。これにより2020年は、いくつかの自動車メーカーから自動運転レベル3搭載車の市販化が進むだろう。そこで自動運転レベル3の定義と運転者の役割を解説したい。

自動運転レベル3でも緊急時はドライバーの対応が求められる

画像: 2020年の中頃、ホンダは国産車初の「自動運転レベル3」を搭載したモデルを発売する。(写真はイメージ)

2020年の中頃、ホンダは国産車初の「自動運転レベル3」を搭載したモデルを発売する。(写真はイメージ)

さて自動運転システムで走行中に緊急事態が発生した時には運転の交代を要求するが、自動運転システムにとっての緊急時とはどんな場合なのだろうか。1秒間に1億回以上の演算をこなすユニットが複数搭載されている自動運転システムで対応できないのなら、人間が瞬間に対応できるはずがない。

先述したが自動運転レベル3は、緊急時に運転席に座っている人に対応を求める。サッカーでたとえれば運転席に座っている人はベンチの交代要員で、いつ出番がきてもベストパフォーマンスを発揮できることが求められる。自動運転レベル3が使用可能な高速道路は、100km/h前後で走行するクルマが大半だ。もし自動運転システムが緊急交代を要請し、すぐに対応できなければ、死亡事故が発生する可能性がある。

自動運転システムはヒューマンエラーを排除し、安全な交通環境を確立するための技術だが、レベル3にはまだ人間の手が必要となる。こんな状況もあり、レベル3をスキップし、レベル4から自動運転に参入を目論む自動車メーカーもある。たとえばトヨタはレクサス LSのテスト車両で自動運転レベル4の開発に勤しんでいる。レベル4では運転席に座っている人に緊急対応を求めることもなく、すべてクルマが対処する。新たに道路交通法が改正されるときは、もしかすると運転席に座っている人もテレビや映画の視聴やスマートフォンの使用も可能になるのかもしれない。(文:猪俣義久)

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