クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。その第29回は「フェラーリ 328GTB/GTS」だ。

フェラーリ 328GTB/GTS(1985-1989年)

画像: 写真は328GTB。ピニンファリーナのフィオラバンティが手がけたデザインは、歴代フェラーリで最も美しいとも言われている。

写真は328GTB。ピニンファリーナのフィオラバンティが手がけたデザインは、歴代フェラーリで最も美しいとも言われている。

フェラーリは、とくにV8エンジンを搭載するスモール モデルでは、2世代ごとに大きな進化をしていく。したがって今回紹介する328GTB/GTSは308GTB/GTSの正常進化版とも考えられるのだが、車名も変更しており、フェラーリとしてもニューモデルとアナウンスしているから、やはり別のモデルとして紹介するほうが正しいだろう。

さて、大成功を収めた308GTB/GTSの後継モデルとして、1985年のフランクフルト モーターショーで328GTB/GTSはワールドプレミアされた。車名の数字は前モデルと同様、3.2Lの(V型)8気筒エンジンを搭載していることを表し、GTはグランツーリスモ、Bはベルリネッタ(クーペ)、Sはスパイダーを意味する。だが328GTSは308GTSと同様、フルオープンではなくタルガトップを採用している。

コクピットの後ろに横置きミッドシップ搭載されるエンジンは、308クワトロバルボーレ(QV)用の4バルブDOHCのボアとストロークとも拡大して、排気量を3166ccとした。最高出力も308QVより30psも強力な270psを発生している。328GTBの最高速度は308GTB QVより8km/h速い263km/hと公称した。

画像: 308からインテリアのデザインも変更され、質感も向上している。伝統のシフトゲートも踏襲。

308からインテリアのデザインも変更され、質感も向上している。伝統のシフトゲートも踏襲。

スタイリングは、ピニンファリーナに在籍していたレオナルド・フィオラバンティが手がけた。308のイメージを受け継ぎながらも、鋭角的なウエッジシェイプから全体に丸みを帯びたフォルムとなり、歴代フェラーリの中で最も美しいモデルと賞賛されている。

一見した限りでは308とよく似ているが、308では控えめだった格子状のフロントグリルが大きくなってウインカーやフォグランプを内蔵し、また308ではバンパーはブラックだったが、328ではボディ同色で目立たなくなっている。サイズ的には、308より少し大きくなっている。

インテリアも308から全面的に改良され、シートやドアパネル、ドアハンドル、スイッチなどのデザインが一新された。また内装のクオリティも一段と高められていた。328は308と同様にGTB/GTSとも高い評価を得て、1989年に後継モデルの348にバトンタッチする。

画像: 発売当時は、クーペのGTBよりタルガトップのGTSのほうが人気が高かったという。

発売当時は、クーペのGTBよりタルガトップのGTSのほうが人気が高かったという。

フェラーリ 328GTS 主要諸元

●全長×全幅×全高:4255×1730×1130mm
●ホイールベース:2340mm
●重量:1275kg
●エンジン種類:90度V8 DOHC
●排気量:3186cc
●最高出力:270ps/7000rpm
●最大トルク:24.5kgm/4800rpm
●駆動方式:横置きミッドシップRWD
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前205/55VR16、後225/50VR16
●当時の車両価格:1560万円

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