クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第111回は「ブガッティ ディーヴォ」だ。

ブガッティ ディーヴォ(2018年-)

画像: ホイールベースと全高はシロンと共通だが、全長は約10cm延長され、全幅も2cmほど広げられている。

ホイールベースと全高はシロンと共通だが、全長は約10cm延長され、全幅も2cmほど広げられている。

2000年に発表(発売は2005年)されたヴェイロン、2016年に発表されたシロンに続く、フォルクス グループ傘下のブガッティ オートモビルが送り出すハイパーカーの第三弾「ディーヴォ(Divo)」がワールドプレミアされたのは、2018年のモントレー カーウイークのイベント「ザ クエイル モータースポーツ ギャザリング」でのことだった。

ヴェイロンやシロンと同様、ディーヴォもまた第1世代のブガッティに関連のある人物から車名が付けられている。1920年代、イタリアのシチリア島(シシリー島とも呼ばれる)で開催された公道レースのタルガ・フローリオで優勝したレーシングドライバー、アルベール・ディーヴォをオマージュして、その名が与えられている。ちなみに、ポルシェ 911タルガの車名はタルガ・フローリオが語源となっているのは、クルマ好きには有名な話だ。

ヴェイロンからシロンまでには10年以上の期間が経過しているため、ほぼ別のモデルと言って差し支えなかったが、ディーヴォはシロンをベースにしている。タルガ・フローリオのような公道レースの覇者をオマージュして車名を付けられたことからも、ディーヴォはそれまでのヴェイロンやシロンのように最高出力や最高速度を追求するモデルではなく、もっぱらワインディングロードでのハンドリングを重視した、ハイパー コーナリングマシンと言えるだろう。

画像: 明るくきらびやかな印象のシロンのインテリアに対し、ディーヴォはブルーをアクセントに使いながら暗めの配色としている

明るくきらびやかな印象のシロンのインテリアに対し、ディーヴォはブルーをアクセントに使いながら暗めの配色としている

ベースのシロンは、超絶超高速指向だが伝統的なブガッティの本流というべき高級グランドツーリングカー的な雰囲気を兼ね備え、スタイリングには気品や美しさが感じられた。だが、ディーヴォは走り(とくにダウンフォース)を追求するがゆえに、それまでのブガッティの流儀に反するような、満艦飾的なエアロパーツで臆面もなく武装している。それでも、シロンよりも35kgの軽量化を達成している。

その結果、ダウンフォースはシロンより90kgも増加しており、コーナリングフォースを高めてコーナーの通過速度を速めている。最高出力は1500ps、最大トルクは1600NmというW16クワッドターボエンジンのパワースペックや、0→100km/h加速は2.4秒というパフォーマンスはシロンと同じ数値ながら、南イタリアのナルドにあるハンドリング コースではシロンより8秒も速いラップタイムを記録している。

ただし、タイヤにはキャンバーが付けられることもあり、最高速度は380km/hにとどめられている。ディーヴォは、コーナリング性能を磨き上げた、いわば峠仕様のブガッティと呼べるだろう。限定生産台数は、40台。価格は500万ユーロ(当時のレートで約6億円!)からとされていたが、ワールドプレミアされたときには完売していたという。

画像: テールランプは独特の光を放つ。大きなリアウイングがエアブレーキの役割も担うのはヴェイロンからの伝統。

テールランプは独特の光を放つ。大きなリアウイングがエアブレーキの役割も担うのはヴェイロンからの伝統。

ブガッティ ディーヴォ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4641×2018×1212mm
●ホイールベース:2711mm
●重量:1995kg
●エンジン種類:W16 DOHCクワッドターボ
●排気量:7993cc
●最高出力:1500ps/6700rpm
●最大トルク:1600Nm/2000-6000rpm
●駆動方式:縦置きミッドシップ4WD
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前285/30ZR20、後355/25ZR21
●当時の価格:500万ユーロ〜

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