新たなデザインアイコンとなる「オペル バイザー」を初採用
1990年代、ヴィータやアストラなどコンパクトカーが人気を集めて知名度も高かったドイツブランド オペルは、2000年代に入ると販売が低迷して日本市場を撤退していた。現在はプジョーやシトロエンなどのブランドを擁するグループPSAの一員となっており、撤退から約15年経過した2021年に再び日本市場へ進出することがアナウンスされている。現在は主要都市へのディーラー網の構築を行っているところで2021年には販売を開始、その後もネットワークを拡大していく方針だという。
その発表の中で、販売されるオペルのモデルは3つあることを公表。かつて日本でヴィータとして販売されたこともあるコンパクトカー「コルサ」、プジョー リフター/シトロエン ベルランゴの姉妹モデルとなるミニバン「コンボライフ」、およそ全長4.5m/全幅1.85mのミドルサイズSUV「グランドランドX」は、いずれもグループPSA傘下になってから開発されたモデルたちだ。
今後もモデルレンジを拡大しいていく方針であることが公表されているが、GM傘下の時代に開発されたインシグニアやアダムなどいくつかが、日本に導入される可能性はほぼない。しかし、そうしたモデルの中のコンパクトSUV、モッカX(MOKKA X)がフルモデルチェンジを控えているという発表があった。新型の名称は「モッカ(MOKKA)」に改められ、2020年第4四半期に生産を開始して2021年初旬にデリバリーされる予定だという。
現在のモッカXは全長4280mm/全幅1775mm/全高1646mmとコンパクトで、国産車でいえばトヨタ C-HRやマツダ CX-3などがライバルとなるサイズ感である。また、ホイールベースは2555mmで新型でもほぼ同じ数値というから、ボディサイズも大きく変わることはなさそうだ。ただし、高張力鋼板を多く採用したことによって車両重量の軽量化を達成し、現行モデル比で最大120kgも軽くなっているという。軽快感と低燃費性能を期待できる。
新型の大きな特徴のひとつはパワートレーンで、電動化技術を投入されているという。詳細はまだ公開されていないものの、新開発プラットフォーム、CMPマルチエネルギープラットフォーム(Common Modular Platform)に基づく開発により、ピュアEV(電気自動車)の「モッカe(MOKKA-e)」とエンジン搭載仕様の両方を用意するようだ。
モッカeの駆動用バッテリーは車両の床下に設置され、これにより重心が下がるだけでなく同時に30%のねじり剛性の向上も実現している。アウトバーンでの安全でリラックスした運転を求めるオペルの哲学を体現するものだという。
新型のもうひとつの特徴は、「オペル バイザー(Opel Vizor)」と呼ばれる同ブランドの新たなデザイン的アイコンだ。フロントグリルとヘッドライト、エンブレムをひとつのモジュールに統合するもので、フルフェイスヘルメットのシールドのように見えることからこう呼ばれる。
この新デザインがオペルの新しい顔となり、2020年代にすべてのモデルに採用していくという。つまり、オペル バイザー採用のトップバッターが新型モッカになるわけだ。ちなみにこのデザインアイコン、実は1970年代から1980年代にかけて販売されたオペル マンタAのフロントマスクをモチーフにしているという。懐かしさを覚える人もいることだろう。
この横長のバイザーデザインはフロントだけでなくリアにも施され、テールランプとその中心のエンブレムを囲うようなデザインを施されているという。外観の写真も公開されているが、すべてカモフラージュを施されており詳細はわからない。しかしよく見れば、リアクオーターガラスを持たないコンパクトなデザインを感じられる。
コンパクトSUV市場はまだまだ活況で、国産車でもいくつかの新型の登場がウワサされている。そんな中でフルモデルチェンジをアナウンスされているオペル モッカ、登場はまだ先になるが性能やそのデザインに期待したい。