2020年2月から7月にかけて133回連載して人気を博した「スーパーカー年代記」。その中から人気の高かった10モデルを、夏休み特別企画としてプレイバックしよう。第8位は、フェラーリ J50だ。

フェラーリ J50(2016年)

画像: スペシャルモデルゆえ外寸などのスペックは一切発表されていないが、サイズ的にはベース車の488スパイダーとあまり変わらないようだ。

スペシャルモデルゆえ外寸などのスペックは一切発表されていないが、サイズ的にはベース車の488スパイダーとあまり変わらないようだ。

フェラーリは、いわゆるカタログモデルであるレギュラーのラインアップの他に、創業40周年などを記念したF40などのように、スペシャルモデルを何年かごとにデビューさせている。また、それとは別に特別な顧客や特定の地域のために、カタログモデルをベースにした限定モデルを発表することがある。例えば、2014年にフェラーリの米国進出60周年を記念して、F12ベルリネッタをベースにオープン化して10台だけ限定生産された「F60 アメリカ」や、ここで紹介する「J50」が、それにあたる。

2016年12月に日本でワールドプレミアされたJ50は、フェラーリの日本進出50周年を記念して作られたスペシャルモデルだ。車名の「J」はもちろんジャパンを意味しており、F60のように「ジャポネ(イタリア語で日本の意味)」や「ニッポン」というサブネームが与えられるかと思われたが、単にJ50のみであった。限定台数は、F60 アメリカと同じく10台だった。

J50は、V8ミッドシップ オープンモデルの488スパイダーをベースに、フェラーリ スタイリングセンターのチームが設計した。1970〜80年代に人気を博したフェラーリ ロードカーを想起させるタルガ スタイルが特徴的。488スパイダーがベースとはいえ、ボディは完全新設計だ。個性的かつ未来的なスタイリングでありながら、ヘルメットバイザー効果を生むウインドーグラフィックや、ボディサイドのブラックの分割ラインなど、今までのフェラーリ車にも採用されているスタイリング手法を新解釈して取り入れている。

画像: インパネの基本デザインは、ベース車の488スパイダーと大きく変わらないが、素材や色はオーナーのリクエストでカスタマイズが可能だ。

インパネの基本デザインは、ベース車の488スパイダーと大きく変わらないが、素材や色はオーナーのリクエストでカスタマイズが可能だ。

中央部を低くしたボンネット上の2つのカーボンファイバー製エアチャンネル、透明ポリカーボネート製のエンジンカバー、ジェットエンジンのアフターバーナーからヒントを得たエクストラクターシェイプのリアディフューザーなど、ディテールも独特のものだ。

スペシャルモデルゆえ詳細なスペックはまったく発表されていないが、ミッドシップに搭載されるパワーユニットは、488スパイダーの3.9L V型8気筒DOHCツインターボが基本だが、最高出力は690psと20ps引き上げられたスペシャルバージョンとなっている。

インテリアでは、エンジンフードのアウトライン デザインを採用したスペシャルトリムのスポーツシートが特徴的。デタッチャブルのハードトップはカーボンファイバー製で、二分割してシート後方に収納が可能だ。

J50は、1台1台オーナーのリクエストによってテーラーメードで仕上げられるため、1台として同じクルマはない。価格は、カスタマイズの程度によって250〜300万ユーロ(当時のレートで約3億〜3億6000万円)と言われていたが、発表時には全車売約済みであった。

画像: ポリカーボネート製のエンジンカバーと、ロールバー風のエアロフォイルと呼ばれるリアセクションのデザインも独特だ。

ポリカーボネート製のエンジンカバーと、ロールバー風のエアロフォイルと呼ばれるリアセクションのデザインも独特だ。

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