フォード フォーカス(2000年)
今春(編集部註・2000年春)に日本デビューを果たしたフォードのCセグメントカー、フォーカス。ニューエッジ デザインとよばれる独特のスタイリングは、平面と鋭角で構成されており、フォルクスワーゲン ゴルフやオペル アストラといったヨーロッパのライバルとは大きく差別化が図られている。
だが日本仕様のエンジンは1.6Lのみの設定だったため、ライバルにはパワー的に差をつけられていた。それから約半年、日本仕様のフォーカスにも待望の2Lエンジン搭載車が追加設定された。これでライバルたちと互角の勝負ができ、本格的な拡販を目指していこうというわけだ。
2Lエンジン搭載車と今までの1.6Lエンジン搭載車との装備における違いは、リアシート座面の分割機能、可倒式ルーフアンテナ、運転席アームレストの採用など。もっとも、こうした変更点は、これから登場する2001年モデルの1.6Lエンジン搭載車にも採用されるらしいから(グレードも同じGHIAとなる)、実質的な違いはエンジンだけといえる。本国仕様にも2Lエンジン搭載車はあるが、トランスミッションはMTのみ。つまり、この2Lエンジン+ATという設定は日本専用だ。さっそく試乗してみることにしよう。
コクピットに着くと、景色は今までの1.6Lエンジン搭載車と変わらない。外観同様に独特のデザインが特徴的なインパネまわりだ。高速から箱根のワインディングへと走らせてみると、やはり最高出力で31ps、最大トルクで3.4kgmもアップした余裕を感じさせてくれる。特に登坂時には、1.6Lエンジン搭載車では「モアパワー!」と叫びたくなるほどアンダーパワーを痛感したのだが、かなり楽になった。「Zetec(ズィーテック)E」と名付けられた2LのDOHCエンジンは静かとはいえないが高回転まで良く回り、電子制御の4速ATとの相性もいい。
フォーカスといえば1.6Lエンジン搭載車もハンドリングの良さに定評があったが、それはエンジンが2Lになっても変わらなかったのは好印象だ。応答性が高く、ステアリングの手応えもしっかりしている。コーナリングが楽しいので、フットレストがないのが少々不満に思えるくらいだ。足まわりは、このクラスのクルマとしてはけっこう固められているが、乗り心地は悪くない。高速時の安定性の良さも変わらない。
今回はハッチバックとワゴンの両方に試乗することができたが、やはりハンドリングはハッチバックが上だ。とはいえ、ワゴンでもバランスのいい走りが楽しめる。カーゴスペースはクラストップレベルで使い勝手も高い。
独特のスタイリングに走りはスポーティ、装備も充実。しかも2Lエンジンを搭載しながら価格はゴルフやアストラの1.6Lエンジンで並み・・・とくれば、これはけっこうお買い得といえるだろう。年間目標販売台数の6000台は、けっこう早くクリアできるのではないだろうか。
■フォード フォーカス 2000GHIA 主要諸元
●全長×全幅×全高:4155×1710×1480mm
●ホイールベース:2615mm
●車両重量:1220kg
●エンジン形式:直4・4バルブDOHC
●排気量:1969cc
●最高出力:96kW(131ps)/5500rpm
●最大トルク:178Nm(18.2kgm)/4500rpm
●トランスミッション:4速AT
●タイヤ:195/60R15
●車両価格(当時):220万円