GTSの4L V8ツインターボは、まるで自然吸気エンジンのようなフィーリングに
ポルシェの2代目パナメーラが日本で発売されたのは2016年のこと。全高を低く抑えたスタイリッシュさと、911シリーズを彷彿とさせる前後デザイン、そして4ドアセダンとしては低く設定された着座位置など、同ブランドらしいスポーツカー然としたモデルである。そしてステーションワゴンタイプの「スポーツツーリスモ」や、全長/ホイールベースを伸ばすことで後席空間を重視した「エグゼクティブ」が登場したのもこの2代目からだ。
そして2020年8月27日、このパナメーラのマイナーチェンジが発表された。
今回の改良でバンパーをはじめとするフロントマスクは一新され、従来オプション設定となっていた「スポーツデザインフロントエンド」が標準装着される。フロント両サイドに大型の冷却用開口部を設けたエアインテークグリルや、デイライトの配置変更などによりボディをワイドに見せている。リアにおいてはテールランプの光源デザインが変更され、左右のユニットをつなぐような1本のラインを描かれている。
ポルシェコミュニケーションマネージメントシステム(PCM)には、改良された音声操作システム「ボイスパイロット」や、AppleCarPlayを含むコネクトサービスが組み込まれている。この他にもナイトビジョンアシストやLEDマトリックスヘッドライトシステムなど、先進のシステムも採用される。日本仕様ではレーンキーピングアシスト、アダプティブクルーズコントロール、レーンチェンジアシストなどの運転支援システムも標準装着される。
今回のマイナーチェンジの大きなポイントは、ショートホイールベースのセダンに設定されたハイエンドグレード「ターボS」だろう。従来の「ターボ(560ps/770Nm)」と入れ替わるように設定されたもので、比較すると80ps/50Nmも向上して630ps/820Nmを発生する。これにより0→100km/h加速はわずか3.1秒、最高速は315km/hに達するという。
ちなみにこの「ターボS」は、ニュルブルクリンク北コース(1周:20.832km)で7分29秒81というラップタイムを記録。これはエグゼクティブカーのカテゴリーで最速記録だという。
また、スポーツ性の高いモデルとしてラインアップされている「GTS」の4L V8ツインターボエンジンも改良を施され、20ps向上した480psとなっている。こうした数値的な向上もあるが、とくにパワー特性に磨きがかけられ、まるで自然吸気エンジンのように最高回転数付近まで連続的に出力を上昇させることができたという。またスポーツエグゾーストシステムの標準装備により、V8サウンドをより顕著に感じられるようになったそうだ。
従来ふたつラインアップされていたPHEV(プラグインハイブリッド)モデルは、4S E-ハイブリッドに統合、ショートホイールベースのセダンに設定された。エンジンパワーを440psに向上された2.9L V6ツインターボエンジンと、トランスミッションに組み込まれた136psを発するモーターにより、システム合計パワーは560ps/750Nmにも及ぶ。しかもバッテリー容量を約27%拡大されたことで、モーターのみでの航続可能距離は64km(NEDCモード)に伸びている。
ガソリンエンジン仕様とPHEVいずれもスポーツ性を高められたマイナーチェンジといえる。この発表と同時に各グレードの車両価格も発表され、予約受注も始まっている。
ポルシェ パナメーラ 車両価格
パナメーラ(2.9L V6ツインターボ/FR):1249万円
パナメーラ4(2.9L V6ツインターボ/4WD):1299万円
パナメーラ4 エグゼクティブ(2.9L V6ツインターボ/4WD):1419万円
パナメーラ4 スポーツツーリスモ(2.9L V6ツインターボ/FR):1346万円
パナメーラ4S E-ハイブリッド(2.9L V6ツインターボ+モーター/4WD):1877万円
パナメーラGTS(4L V8ツインターボ/4WD):1949万円
パナメーラGTS スポーツツーリスモ(4L V8ツインターボ/4WD):1988万円
パナメーラ ターボS(4L V8ツインターボ/4WD):2882万円
※すべて8速DCT/右ハンドル仕様。