今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「アウディ オールロードクワトロ」だ。

アウディ オールロードクワトロ(2001年)

画像: ノーマル時でもA6アバントより車高は45mm高い。SUV風(?)にドアミラーは上下方向に少し大型化されている。

ノーマル時でもA6アバントより車高は45mm高い。SUV風(?)にドアミラーは上下方向に少し大型化されている。

アウディ初のSUVが、今回試乗した「オールロードクワトロ」だ。試乗会のプレゼンテーションやアウディジャパン(編集部註:当時のインポーター名称)の社長であるダネイスン氏には「オールロード」と呼ばれていたので、ここではオールロードと略して紹介する。

アウディ自らが「デザインを身にまとったアスリート」と呼ぶオールロードのスタイリングは、アウディ車としてはアグレッシブではあるがアウディらしい上品さは失われていない。A6アバントがベースだが、前後アンダーガードやサイドステップ、ルーフレールなどに「光り物」を効果的に使って差別化を図っている。そしてノーマル時でA6アバントより45mm高い車高と直径が50mm大きいタイヤ、それを覆うオーバーフェンダーが、このクルマのオフロード性能を無言のうちに語っているようだ。

だが室内はA6アバントなどと同様に、本革シートにウッドパネルを多用した上質な雰囲気で、ヘビーデューティなイメージは皆無だ。センターダッシュ上に車高調整用スイッチとインジケーターが備わっているが、あまり目立つようにしていないのは、いかにもソフィスティケイトされたアウディらしいところ。まさに「適度にスポーティ、適度にプレミアム」な室内空間だ。

画像: 本革やウオールナット、それにメッキパーツ(ATセレクターやメーターリング)をうまく使って高級感を演出している。

本革やウオールナット、それにメッキパーツ(ATセレクターやメーターリング)をうまく使って高級感を演出している。

2.7Lの5バルブDOHCツインターボは、S4などに搭載されているものをデチューンしたとはいえ最高出力は250ps/最大トルクは35.7kgmを発揮しているから、1860kgもある車重をものともせずに加速する。しかも低速域から恐ろしくトルクフルで滑らか、かつ静かだ。

オンロードでの試乗は小雪の舞う伊豆スカイライン。路上には雪の残った部分もあるというシチュエーションなのでガンガン飛ばすというわけにはいかないが、コーナリングでも安定性は抜群。何よりもフルタイム4WDの「クワトロ」による安心感は、こうした状況では精神的にも最高のアドバンテージとな。もちろん、過信は禁物だけれど。

特設コースではオフロード性能も試すことができた。雪溶けのマッディでスリッパリーな斜面でも、ESPをONにし、ティプトロニックのシフトは1か2にマニュアルセレクトすれば、オフロード走行に慣れていない人でも問題なく走破できる。車高調整はマニュアル操作で最高208mmの最低地上高を得られるから、かなりの悪路まで走破できる。ただしハードな走行をする機会が多いのなら、よりサポート性の高いレカロ製シートをオプションで選択した方がいいかもしれない。

輸入車マーケットではクロカン系4WDの人気はサチュレート気味で、メルセデス・ベンツ Mクラス、BMW X5、ボルボ XCといったプレミアムSUVの人気が高まっている。オールロードの日本市場での最大のライバルはボルボXCだそうだが、XCは約150万円も安い。装備や性能に加えアウディのプレミアム性を付加して、この価格差を埋めることができるか注目してみたいところだ。

画像: サイドステップ、ルーフレール、バンパー上、アンダーガードなど「光り物」を効果的に使って高級感を演出している。

サイドステップ、ルーフレール、バンパー上、アンダーガードなど「光り物」を効果的に使って高級感を演出している。

■アウディ オールロード クワトロ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4815×1850×1530mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1860kg
●エンジン形式:V6・5バルブDOHCツインターボ・縦置4WD
●排気量:2671cc
●最高出力:184kW(250ps)/5800rpm
●最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1800-4500rpm
●トランスミッション:5速AT(ティプトロニック)
●タイヤ:225/55R17
●車両価格(当時):687万円

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