今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「ルノー ルーテシア RS」だ。

ルノー ルーテシア RS2.0(2002年)

画像: 全長は3.8mちょっとのコンパクトなボディサイズだが、そのパフォーマンスは侮れない。RSは3ドアのみの設定。

全長は3.8mちょっとのコンパクトなボディサイズだが、そのパフォーマンスは侮れない。RSは3ドアのみの設定。

ルノー ルーテシア(本国名はクリオ)のトップモデル、RS2.0(以下、RS)が日本に投入された。現行型のルーテシアは1998年に発表された2代目だが、昨年(編集部註・2001年)にマイナーチェンジされてフェイズ2となり、前後のデザインは大きく変わった。

マイナーチェンジ前より強そうな顔つきになったルーテシアだが、RSではノーマルグレードよりもフロントマスクはさらにいかつくなり、ただ者ではなさそうな雰囲気を漂わせている。

車名のRSとは「ルノースポール」の頭文字を略したもの。パワーユニットも、その名にふさわしいものが搭載されている。F4型と呼ばれる2Lの直4 DOHCは可変吸気システムとマルチポイントインジェクションを組み合わせ、最高出力は169ps、最大トルクは20.4kgmを発生する。車両重量1.1トンのコンパクトなボディには十分すぎるほどのパワーだ。最近、元気のあるハッチバック モデルが少なくなってきている中の投入で、これは期待ができそうだ。

実際に乗ってみると、一昔前の国産車のようにエンジンを高回転域までガンガン回して乗るクルマとは一線を画している。確かに回すほど元気さを増し、気分をかき立てられるところはある。だが、もっともおいしいところはスロットルを開けたときの一瞬の加速感だ。2Lエンジンならではの、グッとくる押し出し感がいい。

コンパクトなボディに身分不相応なエンジンを積んでしまったような後ろめたさと、ちょっとなめてかかった周囲に対するインパクトが気持ち良い。こんなに元気だったのか?と思わせるような不意打ち的な加速感が実に頼もしい。

画像: 可変吸気システムとマルチポイントインジェクションを組み合わせた2Lの直4 DOHCは高回転まで一気に吹け上がる。

可変吸気システムとマルチポイントインジェクションを組み合わせた2Lの直4 DOHCは高回転まで一気に吹け上がる。

さらにエンジンを回していくと、可変吸気システムは回転数を上げるほどパワーを絞り出し、高いギアでもしっかりと車速を伸ばしていく。メーカーの公称値では、0→1000m加速は27.7秒をマークしている。

しかも、サスペンションは懐が深く、ハードなコーナリングを試してみてもしっかりと沈み込んでいって、4輪は路面を離さない、というのとは少し違う。腰があるサスペンションとでもいうべきか、ジワジワとロールは深めていくが力強く路面をホールドしてくれる。日本車のホットハッチのような、カドがあったりロールしない走りではなく、独特のフィーリングだ。

それでいながら、市街地走行やハイウエイクルージングもそつなくこなす。日本車のホットハッチが忘れかけている、身の丈サイズのスポーツモデルとしても魅力が、このルーテシアRSの持ち味といえるだろう。オートエアコンやCDチェンジャー、デュアル&サイドエアバックなど、安全&快適装備も充実している。

さすがにおとな4人で乗るにはリアシートは少々狭いけれど、フロントシートはフランス車ならではのたっぷりとしたもので、長距離ツーリングでも疲れにくい。親子4人家族で使うなら十分に快適。価格も手ごろで、走りっぷりは十分以上。ときにはひとりで走りを楽しみたいなら、うってつけの1台だ。

画像: ホットハッチにふさわしい個性的なボディスタイルはルノーならでは。ルーフのリアエンドの処理も独特。

ホットハッチにふさわしい個性的なボディスタイルはルノーならでは。ルーフのリアエンドの処理も独特。

■ルノー ルーテシア RS2.0 主要諸元

●全長×全幅×全高:3810×1670×1410mm
●ホイールベース:2475mm
●車両重量:1100kg
●エンジン形式:直4・DOHC・横置きFF
●排気量:1998cc
●最高出力:124kW(169ps)/6250rpm
●最大トルク:200Nm(20.4kgm)/5400rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤ:195/45R16
●車両価格(当時):265万円

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