1980年代、「クロカン」ブームを支えた4WDが、各自動車メーカーから続々と発売された。この連載企画では、今でいうSUVとは、ひと味もふた味も異なる「泥臭さやワイルドさ」を前面に押し出したクロカン4WDを紹介する。第18弾は「 日産 テラノ」だ。
北米仕様の3L V6エンジンが国内投入され人気爆発
デビュー当時は、2663cc 直4ディーゼルTD27型(最高出力85ps/最大トルク18.0kgm)にトランスミッションは5速MTのみだった。グレード構成はバンが2タイプとワゴンが3タイプが設定された。
ライバルを一歩リードしていたサスペンションは、フロントにトーションバータイプのダブルウイッシュボーン、リアに国産SUV初の5リンクコイルリジッドをラダーフレームに組み合わせ、乗り心地と路面追従性、強靭さを兼ね備えていた。
そしてテラノの存在を決定づけたのが、1987年に北米仕様の「パスファインダー」に搭載していた2960cc V6のVG30i型(最高出力140ps/最大トルク23.0kgm)ガソリンエンジンが国内に登場したことだ。これによりD21の販売台数は急上昇した。また、油圧式トランスミッションが主流だったこの時代に電子制御式4速ATトランスミッションを搭載するなど、斬新な取り組みを進めた。
1988年にはTD27型にターボを装着したTD27T型(最高出力100ps/最大トルク22.0kgm)を追加。さらにディーゼル車にも4速ATを与え、選択肢を増やした。その翌年(89年)には新たに4ドアもラインナップ。リアドアハンドルをCピラーに配したことで2ドアに近いシルエットとした。
同時にガソリンエンジンをEGIを搭載してVG30E型(最高出力155ps/最大トルク21.3kgm)に変更。これらによりトータル的に高い評価を得たD21は、ハイラックスサーフに勝る販売台数を記録した。