「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「シビック タイプR(3代目)」だ。
振り返れば、前述した初代のシビック タイプRは6代目シビック(EK9)がベースモデルであり、このころから比べれば現行のタイプRは長くワイドになり、約200kgも重くなっている。年を追うごとに厳しくなる安全基準により、ベースモデルの進化ゆえの大型化を嘆くわけにもいかないのだが、スポーツモデルとして果たしてこれでベストなのか、という疑問は残るのは事実だ。
正直、大きくなることで、シビック タイプRは軽快感が損なわれている。初代のような5ナンバーサイズに収まっていたころの、「人車一体感」を懐かしんでしまう。
だが、そのかわりに現行シビック タイプRには2Lで225psを発生するK20A型エンジンという強心臓が与えられている。6000rpmを超えるとVTECのカムが切り替わったことを示すインジケーターランプが点灯し、そのまま8500rpmのレブリミットまで一気に吹け上がる。スコッとキマる6速MTをシフトしながらのスポーツドライブは、現行型シビック タイプRの真骨頂だ。