2008年のデトロイトショーでデビューしたフォルクスワーゲン パサートCCは、自ら「コンフォートクーペ」を名乗るスタイリッシュな4ドア4シータークーペ。セダン、ヴァリアントに続く「第3のパサート」は、単なるパサートの派生モデルではなく、プレミアムサルーンとして開発された意欲作だった。ここではドイツ・ミュンヘンで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine2008年6月号より)

新ランフラットタイヤをコンチネンタルが開発

最後になるが、ユニークで有効な標準装備である、コンチネンタル製のランフラットタイヤはぜひとも紹介したい。

フォルクスワーゲンがモビリティタイヤと名付けた新しいタイヤは、BMWなどに採用されているサイドウォールを強化したタイプではない。このタイヤには、コンチネンタルが開発したコンチシールと呼ばれる粘着性の高い特殊シーリング物質がタイヤプロフィールの内側に貼られており、たとえ釘などが刺さっても、穴はすぐに復元され空気が漏れない。しかもこのコンチシールはサイドウォールの強化や特殊リムを持ったホイールなどを要求しないので、乗り心地の悪化には繋がらない。さらにタイヤ製造工程で一度準備すれば、タイヤの寿命とほぼ同じ期間、効力を発揮し続けるという。

このテストに参加していたコンチネンタルのエンジニアによれば、この良いこと尽くめのシステムでこれまで起こったパンクチャーの85%はカバーできると語っていた。ただし残念なことに、このタイヤはしばらくの間、フォルクスワーゲンの車両に限って採用される。一般車両あるいはアフターマーケットに出回るには、少なくとも2年は待たねばならない。

さて、このパサートCCだが、もちろんアメリカ以外にも広く市場を求めている。日本の市場もその重要ポイントのひとつである。ただし日本ではメルセデス・ベンツCクラスとBMW3シリーズ、そしてアウディA4で輸入車Dセグメントは飽和状態である。目安となるパサートの販売台数が3400台程度では、たとえスタイリッシュなCCでも新たなユーザー獲得は難しく、価格設定によってはパサートを食ってしまう可能性が高い。

パサートCCは従来のパサートユーザーを簡単に引き寄せてしまうほどの高い価値観と魅力を持ったクルマなのだ。それゆえに共食いを避けるためにパサートという名前を付けない方が良いと思ったほどである。

パサートCC V6 4モーションの価格は4万8000ユーロ(約655万円)と、パサートの3.2L V6 4モーションとの差はわずか4325ユーロ(約70万円)と発表されている。(文:木村好宏/Motor Magazine 2008年6月号より)

画像: リアシートはそれぞれ独立、座面から天井までは93cm確保されている。アームレストには2個のドリンクホルダーを備え、トランクスルー機能も持っている。分割可倒式リアシートはオプションで用意されている。

リアシートはそれぞれ独立、座面から天井までは93cm確保されている。アームレストには2個のドリンクホルダーを備え、トランクスルー機能も持っている。分割可倒式リアシートはオプションで用意されている。

ヒットの法則

フォルクスワーゲン パサートCC 3.6FSI 4モーション 主要諸元

●全長×全幅×全高:4799×1855×1417mm
●ホイールベース:2711mm
●車両重量:1632kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3597cc
●最高出力:220ps/6600rpm
●最大トルク:350Nm/2400-5300rpm
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:6速MT
●最高速:250km/h(リミッター)
●0→100km/h加速:5.6秒
※欧州仕様

フォルクスワーゲン パサートCC 1.8TSI 主要諸元

●全長×全幅×全高:4799×1855×1417mm
●ホイールベース:2711mm
●車両重量:1430kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1798cc
●最高出力:160ps/5000rpm
●最大トルク:250Nm/1500-4200rpm
●駆動方式:FF
●トランスミッション:6速MT
●最高速:222km/h
●0→100km/h加速:8.6秒
※欧州仕様

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