2008年、BMW1シリーズは5ドアハッチバックに、2ドアクーペ、カブリオレをラインアップに加え、充実したバリエーションを持つモデルとなっていた。エンジンは直列4気筒1.6Lと2L、直列6気筒3Lと3L直噴ツインターボの4種類、トランスミッションも6速ATと6速MTを揃えていた。BMWが1シリーズをいかに重要なモデルと位置づけていたかうかがえるが、それぞれのモデルにどのような持ち味があったのか。個々の性格と魅力を検証している。(以下の試乗記は、Motor Magazine2008年6月号より)

主として異なるのは装備、116iと120iの特質

5ドアハッチバックには3種類のエンジンがあるが、この中からどれを選べばいいのだろうか。

もちろん、基本に価格という問題があるが、最近利用者が急増している残価設定型のバリューローンを使うと、何とかなってしまうのも事実。116iと120iの58万円の車両価格の差が、月々の支払いだと数千円の違いとなれば、これは悩むところだろう。

116iと120iは、まずエンジンの差である。116iのエンジンは小さいから走らないと思っている人が多いようだが、実は市街地なら116iでも十分に元気よく走ることができる。ボクはアウトバーンで、ウインタータイヤを履いた116i(6速MT)で200km/hオーバーで巡航したことがある。加速には時間がかかるが、ストレスなく元気よく走れた。

ただし人がたくさん乗る機会が多いとか、ハイスピードクルージングが多いのなら、120iの方がいいだろう。基本的にはどのスピード域を使いたいのかによって決めればいい。現在の日本の高速道路を、ちょっと速い流れに乗って走る程度なら、116iでも問題ないと思う。

もうひとつ選ぶ要素は、装備品である。120iでは標準装備になるバイキセノンヘッドライト、レインセンサー(オートワイパー)/オートライトシステム、ライトパッケージ、電動シートなどが116iには装備されない(ただしオプションで選択可能)。装備の違いは他にもあり、価格の差がエンジンの差だけではないことを感じる。しかし夜間のドライブがメインではなく、ひとりで乗ることが多いのならば116iで十分だと思う。

もし夫婦二人で運転するなら、電動シートが標準になる120iをお奨めする。それはリモートコントロールキーを有効に使えるからだ。BMWのリモートコントロールキーにはキーメモリーが組み込まれている。夫婦で120iを使うなら奥さんは奥さん用、旦那さんは旦那さん用のリモートコントロールキーを使う。奥さんのキーでドアを開けた場合には、奥さんが使っていたシートポジション、ミラーの位置、エアコン、オーディオの設定になる。

iDriveのナビゲーションパッケージをメーカーオプションで付けたのなら、ナビの設定まで奥さん用になる。もちろん旦那さんが旦那さん用のキーで開けたなら、旦那さんのポジションになる、というものだ。

これは116iにも付いている機能ではあるが、電動シートだとそのありがたみがより大きい。具体的にはドライブの途中で運転を交代するときにも、キーを挿し換えることでそれぞれのシートポジションが呼び出される。こんな場面でも、電動シートのメリットが発揮されるのだ。

しかし、BMWの標準装備品はかなりレベルが高く独自のものだから、116iでも必要十分ではある。

一般的にはESCと呼ぼうとしている横滑り防止装置のDSC(ダイナミックスタビリティコントロール)、深い新雪や泥濘地から脱出するときに使うDTC(ダイナミックトラクションコントロール)、定員5人分のヘッドレスト&3点式シートベルト、燃費計測やクルマの走行情報を呼び出して見ることができるオンボードコンピュータ、リモートコントロールキーでクルマの外から操作する窓ガラスの開け閉め、パンクしてもしばらく走れるランフラットタイヤなどは116iにも標準装備になっている。

バネ下の軽さから、乗り心地が良いのは116iだ。195/55R16 87Hという116iに対して、120iは205/55R16 91Vという、幅広でスピードレンジが高いタイヤを履いている。このタイヤサイズを比較しただけでも、路面の凹凸に対してタイヤが振動を吸収する能力も116iの方が高いのがわかる。

画像: 120iは5ドアハッチバックの主力モデル。5ドアハッチバックには直列4気筒1.6L、直列4気筒2L、直列6気筒3L3種類のエンジンが搭載される。

120iは5ドアハッチバックの主力モデル。5ドアハッチバックには直列4気筒1.6L、直列4気筒2L、直列6気筒3L3種類のエンジンが搭載される。

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