メルセデス勢もアブダビでのホンダの速さにはなす術なし
この日のフェルスタッペンの速さは素晴らしかった。フェルスタッペンはポールポジションから好ダッシュを見せると、オープニングラップで後続をDRS圏外まで突き放す快走を見せる。
5番手からスタートしたアルボンは、6周目に前を行くランド・ノリス(マクラーレン)をパスして、4番手に浮上。2番手、3番手のメルセデス勢をレッドブル・ホンダの2台が挟む形でレースを進める。このアルボンの走りはメルセデス勢にとって脅威で、思い通りの作戦がとれなくなくなっていく。
アルファタウリ・ホンダの2台は、ダニール・クビアトがスタートポジションの7番手を守り、ピエール・ガスリーは1つポジションを落として10番手で1周目を終え、その後、ガスリーはクビアトとポジションを入れ替えて8番手、9番手で序盤を進める。
レースが動いたのは10周目。セルジオ・ペレス(レーシングポイント・メルセデス)がエンジントラブルでコース上にストップし、バーチャルセーフティカー導入からセーフティカー出動となる。この時フィニッシュまでハードタイヤで走りきれる周回数であったことから、ホンダのパワーユニット勢4台を含め、大半のマシンがこのタイミングでピットインし、タイヤ交換を行うことになる。
フェルスタッペンはピットアウト後もリードを拡大し続け、盤石のレース運びを見せる。チームメイトのアルボンはタイヤをマネージメントしながら、終盤にはメルセデス勢との差を詰めていくが、3位のルイス・ハミルトンに約1.5秒差まで迫ったものの一歩届かず、4位でフィニッシュした。
一方、アルファタウリ・ホンダの2台は、セーフティカー導入の際にステイアウトしたマシンの後方にポジションを下げトラフィックの中で苦戦。しかし、それでもガスリーはシャルル・ルクレール(フェラーリ)、ランス・ストロール(レーシングポイント・メルセデス)、セバスチャン・ヴェッテル(フェラーリ)を立て続けにオーバーテイクして8位でフィニッシュ。クビアトも追い上げてポイントまであと一歩の11位で完走を果たした。
2020年シーズンを終え、ホンダのパワーユニットは3勝、表彰台14回を獲得。4人のドライバーすべてパワーユニットの使用を規定通りの年間3基以内で終了、パワーユニットマニュファクチャラーの中では唯一のエンジン交換ノーペナルティでシーズンを終えた。
最終戦の快走の背景には、どうやらこのパワーユニットの信頼性があったようだ。最終戦ではメルセデス勢はホンダのパワーユニットに太刀打ちできなかったが、思うようにパワーを出せていなかった節がある。また、アルボンの快走により、思い切った作戦がとれなかったのも大きい。この戦いが来季できれば、おもしろいことになりそうだ。
ちなみに、レーシングポイント・メルセデスのペレスは、規定を超えるパワーユニットの使用のためグリッド降格になったばかりか、わずか10周でエンジントラブルに見舞われている。