2008年、ベントレー コンチネンタルGTに「スピード」というサブネームが与えられたモデルが登場。1923年の名車「ベントレー 3リッタースピード」の精神を受け継いでデビューしたこのモデルは、ベントレーとして初めて最高時速200マイル(320km/h)の壁を突破したことでも大きな注目を集めた。ここでは箱根で行われた試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)

さらに一体感が強くなったコンチネンタルGTスピード

ヒットを受け、2ドアクーペのコンチネンタルGTに引き続き、4ドアサルーンのコンチネンタル・フライングスパー、2ドア4座コンバーチブルのコンチネンタルGTCと次々に発表され、シリーズは形成されていった。そのバリエーションとして登場したのが、コンチネンタルGTのハイパワー版「コンチネンタルGTスピード」だ。

特徴的な12気筒エンジンの最高出力は15%増の610psに、最大トルクは9%増の76.5kgmに増強された。

パワーアップは、新型エンジンマネージメントシステムの導入、新しいクランクケース、コンロッド、エキゾーストシステム、エアインテーク等々の採用によって実現している。他にも、様々な部分に軽量化やローフリクション化が施され、最高速度326km/h、0→100km/h加速4.5秒という超高性能を達成した。

ベントレーぐらいの高級車ともなると、自分から高級であることは体現しない。コンチネンタルGTスピードも、スタンダードのコンチネンタルGTと見分けるのが難しい。2台並べてみれば、フロントグリルの傾斜角度やグリルネットの色合いなどが若干異なることに気付く。しかし単独では難しいだろう。エンブレムなどもともと付いていないし、ボディ形状が違うわけでもない。ドアを開けたサイドフレーム上のトレッドプレートに「Speed」の文字を認めるくらいだ。

走り出してみると、大きな津波のような加速が一段と力強くなったのがわかる。反面、排気音は低く抑えられている。インテリアに変わりはないように見受けられるが、詳細は停まって検討しないとわからない。ステアリングホイールの直径が375mmへと小径化されたことも印象を少し変えている。

ここにすべてを書き出せないくらい、サスペンションとシャシに細かな改変が行われているが、フロントサブフレームのマウント構造強化やダンパーのセッティング変更、ステアリングギアボックスの改良などがハンドリングと乗り心地に大きく作用している。

パワーアップとともに、コンチネンタルGTよりも強い一体感が得られた。快適性は向上し、パワーは増えた上に、ドライバーの運転によりビビッドに応えるようになった。コンチネンタルGTスピードの登場によって、コンチネンタルシリーズは魅力を深め、さらに前進したと言えるだろう。(文:金子浩久/Motor Magazine 2008年8月号より)

画像: インテリアは、標準モデルのコンチネンタルGTではオプションで設定される、優雅でユニークな「The Mulliner Driving Specification」仕様がスタンダードとなる。

インテリアは、標準モデルのコンチネンタルGTではオプションで設定される、優雅でユニークな「The Mulliner Driving Specification」仕様がスタンダードとなる。

ヒットの法則

ベントレー コンチネンタルGTスピード 主要諸元

●全長×全幅×全高:4815×1920×1390mm
●ホイールベース:2745mm
●車両重量:2390kg
●エンジン:W12DOHCツインターボ
●排気量:5998cc
●最高出力:610ps/6000rpm
●最大トルク:750Nm/1750rpm
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:6速AT
●最高速:326km/h
●0→100km/h加速:4.5秒
●車両価格:2570万円

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