2008年3月のジュネーブオートサロンで往年のフォルクスワーゲンファンにとって懐かしい名前「シロッコ」が復活した。このモデルは単なる「名車の復刻版」ではく、時代が変わりクーぺ市場も様変わりする中、最先端のメカニズムと次世代のデザインテイストを盛り込んだ新しいチャレンジだった。今回は2008年6月にポルトガル・リスボンで開催されたこの3代目シロッコの国際試乗会を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)

スポーツクーペらしいフォルム、ゴルフよりもワイド

ポルトガルのリスボンで開催された試乗会に現れたシロッコのサイズは、全長4256mm、全幅1810 mm、全高1404mm。つまりゴルフとほぼ同じ長さで幅は50mm広く、およそ100mmも低い。ちなみにリアシートは平均的日本人の体格であれば、100kmくらいはなんとかなりそうな広さだ。

試乗に選んだのは2.0TSI。これはゴルフGTIに搭載されるものと同じ最高出力200ps、最大トルク280Nmを発生する4気筒2Lターボエンジンを搭載する。またトランスミッションは1750ユーロ(約20万円)のオプションで用意される6速DSGを選んだ。

イオスから移植されたダッシュボードは、正面のナセル内にタコメーターとスピードメーターが整然と並ぶ見やすいレイアウト。おそらくイオスとシロッコの2台を所有する人はいないと思うので、この選択に異論はないだろう。

フロントシートはサイドサポートもしっかりしており、我々日本人でも身体にしっかりとフィットする。ゴルフより明らかに低いドライビングポジションで、視界はまさにスポーツカーのそれだ。

リスボン市内をおよそ20kmに渡って走り回ったが、最初はまるで走る広告塔のようで、沿道の人や他のクルマのドライバーからの視線が痛いほどである。みんな親指を上に挙げるポジティブなサインを送ってくる。信号で止まると車内まで覗き込んでくる歩行者もいた。こんな反応を経験したのはブガッティ ヴェイロンの試乗会以来だ。

リスボン市内にはまだ石畳の路面が多く、硬くセッティングされたシャシはかなり跳ねる。3ドアハッチバックのボディ剛性は高く、建てつけの弱さを現わす振動やノイズは発生しなかった。しかし、こうしたドライブシーンを走る人に対しては2009年の春から913ユーロ(約13万円)のオプションで用意されるアダプティブシャシコントロールを注文することをお勧めする。このシステムはコンソールのスイッチで、スポーツかコンフォートのセッティングを選ぶことができる。

画像: ワゴンのようなフォルムを持つまったく新しいタイプのスポーツクーペ。美しいルーフおよびサイドラインが特徴的。

ワゴンのようなフォルムを持つまったく新しいタイプのスポーツクーペ。美しいルーフおよびサイドラインが特徴的。

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