ポルシェは2020年に大きなニュースをいくつも発信してきたが、その中でもピュアEV(電気自動車)であるタイカンの日本市場での正式デビューは大きな注目を浴びた。言わずと知れたスポーツカーブランドがピュアEVを作り出したらどのようなモデルに仕上がっているのか気にしている人も多いことだろう。このほかにもポルシェエクスペリエンスセンター東京の発表、東京・有明と原宿で展開されたポップアップストアはこれまで日本市場になかった施設である。なぜこうした「初」の取り組みを行ってきたのだろうか。さらにタイカンのスポーツ性などをポルシェジャパン執行役員の前田謙一郎氏と、ポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)に参戦している小河諒選手に話を聞いた。(インタビュアーはMotor Magazine誌 千葉知充編集長)

投資総額50億円にも及ぶエクスペリエンスセンターが2021年晩夏にオープン

千葉 前田さんに聞きたいのですが、ポルシェが公式にスポンサードしているワンメイクレースが増えたようですね。

前田 911GT3カップで争われる「ポルシェカレラカップジャパン」と、718ケイマン GT4クラブスポーツの「ポルシェスプリントチャレンジジャパン」、そして2019年から新しくバーチャル世界でのレース「eスポーツ」を3つめのワンメイクレースとして「ポルシェ Eスポーツ レーシングジャパン」を開催しています。2020年はシーズン2にあたり、秋から予選を開始して、明日の12月20日(取材日:12月19日)にファイナルを行う予定です。

千葉 小河選手、eスポーツの経験は?

小河 ありますが、なかなか難しい。私の場合、リアルに風とにおいを感じないとダメみたいです。でもカレラカップにスカイレーシングから出場していた大滝選手は、2019年に茨城国体のeスポーツ部門で山形県の代表として出場したドライバーなんです。意外とクロスオーバーしていますよ、リアルとバーチャルで。

画像: タイカンポップアップ原宿の施設内、911GT3カップの前でインタビューを受ける前田氏(右)と小河氏(中)、インタビュアーの千葉(左)。

タイカンポップアップ原宿の施設内、911GT3カップの前でインタビューを受ける前田氏(右)と小河氏(中)、インタビュアーの千葉(左)。

千葉 今後のポップアップストアの予定は決まっていますか?

前田 2021年に向けて検討中です。ただ、現在は千葉県木更津市にポルシェエクスペリエンスセンター東京のオープン準備を進めています。911やパナメーラだけでなくカイエンやタイカンなども走らせることのできるクローズドコースです。なかにはオフロードコースもあります。

千葉 投資総額は50億円にも及んだそうですが。

前田 私たちポルシェにとって「体験してもらう」ことは大切なミッションで、これまでも大きな投資をしてきました。シルバーストン(イギリス/2008年)やロサンゼルス(アメリカ/2016年)をはじめとして、世界ですでに8カ所のエクスペリエンスセンターがオープンしています。世界でも大きなマーケットを持っている日本に設置することはまったく不思議な話ではありませんでした。2021年晩夏の開場を予定していますので、ぜひポルシェのスポーツ性を体感していただきたいです。

千葉 では最後に小河選手、カレラカップの今シーズンを振り返って、また来シーズンの目標を教えてください。

小河 コロナ渦という大変に難しい状況のなか、ほぼ全戦違うサーキットで開催していただきカレラカップ委員会の方々には感謝しています。カレラカップに帰ってきて2年目となる2020年は2回勝つことができましたが、接触やもったいない取りこぼしも多く、ランキング上位に昇ることはできませんでした。来シーズンは991型で走る最後のカップになると思うので、3度目のチャンピオンを狙いたいです。
また、F1においては2021年に日本人ドライバー角田選手の出場によって注目度も高まります。長年F1日本グランプリと併催されてきたカレラカップも、見てくれる人が増えると嬉しいです。
ポルシェとしては、2023年からル・マン24時間耐久レースを含むFIA世界耐久選手権(WEC)に戻ってくるというアナウンスもありました。ポルシェのカテゴリの先には世界が待ち受けているんだということを芯において、そのチャンスをつかみ取れるように準備したいです。
(写真:井上雅行)

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