2008年、アルファロメオからコンパクトモデル「MiTo」が登場し、日本でも話題となった。全長わずか4mという147よりも小さなコンパクトカーだが、8Cコンペティツィオーネをイメージさせるプレミアム性があった。Motor Magazine誌はイタリアで行われた国際試乗会に参加、ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年9月号より)

軽いことが最大のメリット、ひらりとコーナーをクリア

当初ラインナップするエンジンはガソリン2種、ディーゼル1種。試乗したのはガソリンの1.4L DOHCターボで155psを発揮するタイプだ。1.4Lの過給エンジンというと、フォルクスワーゲンのTSIが好燃費で話題だが、このミトもEU総合モードの燃費は15.4km/Lと非常にいい(参考までに車重1205kgのゴルフ140ps仕様TSIは14.1km/L)。1070kgと車重が軽いことが大きなメリットとなっているのだろう。

走りにもボディの軽さがよく感じられる。ただゴルフの140ps TSIのように低回転からスーパーチャージャーが働き、グイグイとボディをひっぱっていくような感触はない。低回転時は少々もたつくが、回転の上昇とともに活き活きとしてくるという感じだ。マニュアルトランスミッションで、高回転を維持して走る楽しさは十二分にある。

この軽さはコーナリングでも光る。ステアリングホイールを切り込むと、スパっと曲がる。もちろん、それはしっかり感があり粘り強いサスペンションに支えられているからなのだが、それよりもとにかく軽いことのメリットを実感させる、そういうコーナリングフィールだ。

ミトのプラットフォームは、評判のよいグランデプントと共有するが、いろいろな面でアルファを名乗るためのクオリティアップが図られている。典型的なのはステアフィールで、かなり上質だ。アルファDNAというシステムで、エンジンレスポンスやステアリングの重さなどを3段階に調節できるが、それを一番スポーティな「ダイナミック」にしたときのステアフィールは、とくに良かった。「ノーマル」では、手応えが少なくてちょっと軽すぎると思ったが、「ダイナミック」にしたら、がらりとフィーリングが変わった。

試乗はコース、時間ともに満足のいくものではなかったが、それでもミトのポテンシャルの高さは十分に感じられた。

日本へはまずこの仕様、1.4ターボ(MT 左ハンドル)が来春に導入される。そして、大きなニュースなのだが、欧州でもこれから登場する2ペダルのDDCT(デュアル ドライ クラッチ トランスミッション)が、右ハンドル仕様でおそらく2009年終盤には日本へ投入されることになる。

さらに朗報がある。かなり戦略的な価格設定になりそうなのだ。俄に信じがたいが、”「スターティングプライスは200万円ちょっと」という説もある。確かに車格は147より下だから、考えられなくはないが。それにしても「安過ぎる」と感じてしまうのは、ミトの出来映えが素晴らしかったからだろうか。(文:荒川雅之/Motor Magazine 2008年9月号より)

画像: アルファロメオとして初搭載の「アルファDNA」システム。ダイナミック、ノーマル、オールウェザーの3つのモードがあり、エンジンレスポンス、スタビリティコントロールの作動時期、パワーステアリングの重さを制御する。スイッチはシフトレバーの奥にある。

アルファロメオとして初搭載の「アルファDNA」システム。ダイナミック、ノーマル、オールウェザーの3つのモードがあり、エンジンレスポンス、スタビリティコントロールの作動時期、パワーステアリングの重さを制御する。スイッチはシフトレバーの奥にある。

ヒットの法則

アルファロメオ ミト 1.4 TB 主要諸元

●全長×全幅×全高:4063×1720×1446mm
●ホイールベース:2511mm
●車両重量:1070kg(EU)
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1368cc
●最高出力:155ps/5500rpm
●最大トルク:230Nm/3000rpm
●駆動方式:FF
●トランスミッション:6速MT
●最高速:215km/h
●0→100km/h加速:8.0秒
※欧州仕様

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