ヒップポイントが10mm高められ、Aピラーに角度をつけて、広々感の演出とともに視界が確保されているので、視認性も向上した。ハンドリングも理想ラインが狙いやすい穏やかなセッティングだし、モーターの容量を上げたというパワーステアリングのおかげで、ステアフィールもぎこちなさがない。
ペダルフィールもアクセルの飛び出し感がなく、ブレーキもほどよい踏み応え。最小回転半径も先代を踏襲した4.3mと、当面は国内専用モデルとして開発されただけのことはある。日本の女性が、日本の道で走ったときに、もっとも快適に走れる性能が追求されている。
特筆すべきは乗り心地。路面の悪い街中でも、突き上げ感がまったくない。そのぶんロールは大きいが、あくまで街中をメインに据えた存在なのだと思えば納得できる。そうは言っても、どうしてもロールが気になるという人には、ほぼタイヤ違いと言ってもいい、微妙に足まわりのセッティングが違う1.3Lがオススメ。しっかり感が増すので、少しタフな道を通勤する人はこちらの方がいいだろう。
デザインやユーティリティ面には、これまで以上に力が入れられている。パッソ/ブーン特有のシートアレンジであるロングクッションモードは健在だし、オープンやフタ付きなどの多彩なポケッテリアも使いやすい。とにもかくにも、日本女性に向けたアピールポイント満載の1台だった。
■パッソ 1.0+ハナ(ブーン 1.3CX) 主要諸元
●全長×全幅×全高:3650(3640)×1665×1535mm
●ホイールベース:2440mm
●車両重量:910kg(940)
●エンジン種類:直3(直4) DOHC
●排気量:996cc(1329)
●最高出力:51kW<69ps>/6000rpm(70<95>/6000)
●最大トルク:92Nm<9.40kgm>/3600rpm(121<12.3>/4000)
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:22.5km/L(21.0)
●タイヤ:155/80R13(165/70R14)
●当時の車両価格<税込み>:129万5000円(138万円)