最高速度は10km/hほど遅い。0→100km/h加速は0.1秒及ばない。けれどそれ以外はほとんど同じ。エクステリアもインテリアも違いは少ない。「S」はついていないけれど「911ターボ」はやはり、特別な存在だった。(Motor Magazine2021年2月号より)

鋭さを増したエンジンのピックアップ

ポルシェは2020年の春に911(992型)ターボSを発表したが、今回新たにそのスタンダードバージョンと言える「ターボ」を試乗することができた。

ホッケンハイムサーキットのパドックに並んだのは、オレンジのカラーを纏った「992ターボクーペ」たち。搭載されるフラット6エンジンの排気量は3745CCで、過給気の流れをスムーズにするためにシンメトリックなレイアウトを持ったVTG(バリアブルタービンブレード ジオメトリー)を持つツインターボを採用。

6500rpmで最高出力580ps、2250rpmから750Nmの最大トルクを発揮する。ターボSと比べると70ps、50Nmの差だが、主にソフトウエアによるエンジン回転数の制御によるものだ。それぞれの最高値は、どちらも250rpmほど低い場所で発生している。

一方、トランスミッションは同じく8速DCT(PDK)で、PTM(ポルシェ トラクション マネージメント)制御による4WDを搭載したパフォーマンスは、0→100km/hの加速所要時間が2.8秒(カブリオレは2.9秒)、最高速度は320km/h。ターボSは2.7秒と330km/hなので、わずかに及ばない。

ボディサイズはターボSと同一で、全長4535mm、全幅1900mm、全高1303mm、ホイールベース2450mmそして空車重量(EU基準)も1715kgと変わらない。

始動させると水平対向6気筒はすぐさま安定したアイドリングを始め、軽くアクセルペダルを踏み込めばタコメーターの針は怯むことなく跳ね上がる。これはターボSで初導入されたVTGを持つ2基のタービンが、同方向ではなく対称的に回転することで、空気の流れが改善されている効果だ。

エンジン上方にインタークーラーを配置したことによる冷却性能の向上など、多彩な改善が施された結果、大型化されたタービンブレードにもかかわらずエンジンのピックアップは一層鋭いものになっているのだ。

画像: LEDテールライトは、一連の新型911と同様に左右につながる1本のバータイプとなる。

LEDテールライトは、一連の新型911と同様に左右につながる1本のバータイプとなる。

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