まずはターボのRS(6速MT)で走ってみる。気になったのはシフトレバーの位置だ。MT車、CVT車問わず、シフトレバーはハンドルのすぐ左隣に配置されており、ハンドルからシフトレバーへ、またはその逆でも持ち替えやすいというメリットがある。だが、フロアシフトのMTに慣れた身には違和感がある。コストや製造プロセスといった視点で考えるとMT車だけフロアシフトに、というのは難しいことは重々承知しているが、ショートストーロークで適度にコシがあり、せっかく操作しやすく仕立てたシフトレバーが少しもったいなく思えた。
ターボエンジン車のフットワークは「RS」、CVTの「プレミアムツアラー」ともに軽い。2600rpmで最大トルクを発生すため、ゼロスタート時や中速域からの加速シーンでもエンジンが騒々しくなることはなく動力性能も十分。快適でとても乗りやすかった。走行中の車内は静かで、エンジンの振動もよく抑えられている。これは遮音機能付きフロントガラスや適所に配置された遮音材、液封エンジンマウントなどが効いているものと思われる。
続いてNAのベーシックグレード「オリジナル」に乗ってみる。こちらは加速時などにややエンジンが騒々しくなるものの、体重70kg以上の男性3人と撮影機材を載せた状態でも、一般道での走行や高速道路への合流といったシーンでも動力性能に不足は感じなかった。なお、新型N-ONEは全グレードに全車速追従タイプのACCレーンキープアシストなどがパッケージされたや先進運転支援技術の「ホンダセンシング」が標準装備される。
N-ONEで悩ましいのは、グレード選びだ。スポーツ志向のRS、上質感を味わいたいのであればプレミアムかプレミアムツアラー、シンプルだが必要なものは揃っているオリジナル、というように各グレードにそれぞれの魅力がある。ホンダではこれらをグレードという上下の関係性ではなく、各々に異なる個性を与えたと考えているそうだ。果たしてどの個性が自分に合っているのか。それを見極めるためには30分でもいいのでN-ONEと同じ時を過ごしてみることをオススメすしたい。(文:Motor Magazine編集部 小泉優太/写真:井上雅行)
ホンダ N-ONE RS 主要諸元
●全長×全幅×全高=3395×1475×1545mm
●ホイールベース=2520mm
●車両重量=840kg
●エンジン=直3 DOHCターボ
●総排気量=659cc
●最高出力=47kW(64ps)/6000rpm
●最大トルク=104Nm(10.6kgm)/2600rpm
●駆動方式=横置きFF
●トランスミッション=6速MT
●WLTCモード燃費=21.6km/L
●タイヤ=165/55R15
●車両価格(税込)=199万9800円