「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、トヨタ クラウンだ。
ハイブリッドらしさはあまり感じられない
一方、ハイブリッドモデルはベースを従来のアスリートからロイヤルに変更している。見た目はやや地味な印象となったが、その乗り味はけっして地味ではなく良く走る。極低速域から感じられる大きなトルクも、スムーズで息の長い加速感も健在だ。
走行制御モードをノーマルにしていると、ジェントルなゆっくりとした動きとゆるい乗り心地を見せるものの、スポーツモードにするとスポーツシューズに履き替えたように、ぼやけたフットワークがギュッと引き締まる。ネーミングはロイヤルでも18インチタイヤを履き、200kg増の車重を支える足元は今回のアスリート以上にメリハリがあってフラットな乗り味を見せてくれる。路面からの突き上げは少なく、エンジンからの音の侵入も少ない。クラウンらしい快適性も十分に保っている。
2.5Lモデルは財布にも環境にも優しく、アスリートでさえ人に優しい乗り味を見せてくれた。ただ、個人的には大パワーをしっかりと受け止めたハイブリッドの乗り味のほうが完成度は高く感じられた。従来は重いと何かと気になる点も多かったが、今回はそれを克服できた感じがした。
ロイヤルがベースに変わったハイブリッドは、ハイブリッドらしい自己主張はあまり感じられないが、走りは非常にしっかりしている。
■クラウン 2.5アスリート 主要諸元
●全長×全幅×全高：4870×1795×1470mm
●ホイールベース：2850mm
●車両重量：1610kg
●エンジン種類：V6 DOHC
●排気量：2499cc
●最高出力：149kW＜203ps＞／6400rpm
●最大トルク：243Nm＜24.8kgm＞／4800rpm
●トランスミッション：6速AT
●駆動方式：FR
●10・15モード燃費：12.4km／L
●タイヤ：225／45R18
●当時の価格（税込み）：425万円
