「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、トヨタ クラウンだ。

トヨタ クラウン(2010年:13代目 マイナーチェンジ)

画像: リアコンビネーションランプやルーフアンテナのデザインも変更され、後ろからでもマイチェン前との違いが認識できる。

リアコンビネーションランプやルーフアンテナのデザインも変更され、後ろからでもマイチェン前との違いが認識できる。

現行型(編集部註:13代目)クラウンは今までハイブリッドモデルのみが100%の減税対象車だったが、今回のマイチェンで2.5Lモデルが50%の減税対象となった。駆動ロスとなるオルタネーターやトランスミッションの制御を緻密にすることや、エンジンの小さな部品ひとつひとつの精度を上げるなど、細かな積み重ねによって0.4km/Lの燃費向上を実現した。同時にレギュラーガソリン仕様となり、ランニングコストも抑えられた。

その中心モデルとも言える、2.5アスリートは、ひとことで言えば人にも優しくなった印象だ。ノーマルモードで試乗していると、18インチタイヤを履いているようなカドは感じられずサスペンションが上下によく動く。反面、収束感がゆったりしていて、走り味はややマイルドだ。

スポーツモードで走行するとタイヤの上下動がやや抑制され、締まった印象に変わる。従来のロイヤルとアスリートの中間といった感じで、走りにこだわる人には、やや物足りないかもしれない。それでも適度にスポーティな印象に好感が持てる。乗り味がマイルドになったとはいえ、限界付近での唐突な挙動変化がうまく抑えられているので、コントロール性は進化している。乗り心地と操縦性のバランスは、かなり絶妙だ。

気になる点としては、むやみに「走り」を主張しなくなった分だけ、走行制御モードに頼りすぎている感はある。開発者の話では、その制御に大きな変更はないというが、スポーツモードを選ぶとステアリングが重くなり、動き出しが敏感に感じられて神経を使う。アクセルを戻してもなかなかシフトアップしない点も気になった。レギュラー仕様となったことでフラットトルク感が強調され、高回転をキープしてもあまり恩恵を感じることはなかった。スポーツモードというのなら、もう少しメリハリが欲しいところだ。

画像: 2.5LのV6エンジンはレギュラーガソリン仕様となりパワースペックは少しダウンしたが燃費は向上した。

2.5LのV6エンジンはレギュラーガソリン仕様となりパワースペックは少しダウンしたが燃費は向上した。

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