去る2020年12月3日にマツダCX-5の一部改良が実施された。あくまで商品改良という位置づけなので、変化をアピールするような見た目の変化はほとんどないが、試乗してみるとその中身は驚くべき進化を遂げていた。

従来車のもっさり感は一掃、地味だけれどマツダ車にとって偉大な一歩だ

さて、見た目には変化のない新型CX-5に実際に乗ってみた印象を報告しよう。まずはもっともその効果が期待される市街地での発進加速や、高速合流部での速度コントロールのしやすさについて。これは、掛け値なしに向上していた。すごく良い。不感帯がなくなって、赤信号からの発進や高速の合流でも、スピードコントロールがまさに意のままになっている。それでいて、過敏なところは微塵もなく、すべてはドライバーの掌中にあるがごとくだ。

画像: 加速時のコントロール性が格段に向上。従来型も悪くはなかったが、それでも乗り比べると「もっさり」した感覚が残る。

加速時のコントロール性が格段に向上。従来型も悪くはなかったが、それでも乗り比べると「もっさり」した感覚が残る。

比較のために従来モデルにも乗ってみた。従来モデルも決して悪くはなかったのだが、それでも新型に比べるともっさりしており、慎重にアクセルペダルコントロールしても気ばかりが先行してしまうこともしばしば。新型との差は歴然としている。

さらに言えば、新型はクルマの動きがさらにリニアになっている(と感じられた)。これはてっきり足回りも再チューニングされたのかと思い聞いてみたのだが、さにあらず。今回手を加えたの制御技術関連で、エンジン制御、アクセルペダル踏力、オートマチックトランスミッションの制御のみとのことだという。にもかかわらず、なぜ足回りにも変更が加わったと感じたのだろう。

その理由をマツダのエンジニアが説明してくれた。「人の感覚を研究する過程で、クルマとの一体感/自在感を高めるにはエンジン出力の向上や、サスペンションの改良だけでは不十分で、各種の制御技術というのがカギになっているんです。たとえばペダルを踏み込むという一見単純に見える動作にも、実は全身の筋肉が関わっていて、姿勢を保とうとする筋肉の動きとペダルを操作する筋肉の動きは連携している。それが見えてくると、トランスミッションの制御マップも変わってくる・・・」

つまり、ドライバーが感じる一体感とは個別の技術だけではなく、制御領域のより密な関連性によって向上するということのようだ。恐らく、エンジン本体の出力アップや出力特性の変更も、今回のインプレッションに大きく影響はあったと思う。しかし、実際にドライブしている時にはパワーアップをさほど意識しなかったのも事実ではある。むしろ、それを上回るドライビング・プレジャーを実現したところに、今後登場するマツダ車への期待がさらに膨らんでしまうのだ。(文:Motor Magazine編集部 阪本透/写真:永元秀和)

画像: 人間が気持ちが良いと感じる速さの造り込みはマツダの得意とするところ。今回の改良は目に見えないところが主の地味な改良ではあるが、マツダのクルマ作りがまたひとつ高みに登ったと言える。(写真は新たにラインアップに加わった「Black Tone Edition」)

人間が気持ちが良いと感じる速さの造り込みはマツダの得意とするところ。今回の改良は目に見えないところが主の地味な改良ではあるが、マツダのクルマ作りがまたひとつ高みに登ったと言える。(写真は新たにラインアップに加わった「Black Tone Edition」)

マツダCX-5 XD 4WD Black Tone Edition(特別仕様車) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4545×1840×1690mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1690kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:2188cc
●最高出力:200ps/4000rpm
●最大トルク:450Nm/2000rpm
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:6速AT
●車両価格:359万1500円

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