MGUをフロントアクスルに配置した4輪駆動
トヨタがついに2021年WEC、ル・マン24時間耐久レースに参戦する新型車両、ル・マン ハイパーカー「トヨタGR010ハイブリッド」を正式発表した。「GR010ハイブリッド」はル・マン3連覇を成し遂げた「TS050 ハイブリッド」で磨いてきたレーシングハイブリッド技術をベースに、LMHレギュレーションに則って開発されたプロトタイプカーで、ドイツ・ケルンのTGRエンジニアと、東富士研究所に本拠を置くハイブリッドパワートレーンチームが一体となり開発された。
そのメカニズムは、680psを生み出す3.5L V6ツインターボエンジンで後輪を駆動し、アイシンAWとデンソーが共同開発した272psを生み出すモータージェネレーターユニット(MGU)をフロントアクスルに配置した電気式4WDとなっている。レギュレーションにより、リアにはMGUを搭載せず、スターターモーターを組み込み、リアブレーキは油圧によってのみ作動させる。
また、新しいレギュレーションではすべてのサーキットで同じボディ形状を用いることを求めているため、ダウンフォースを求められるサーキットにおいても、低ドラッグを要求されるサーキットにおいても同じ仕様で戦わなければならない。そのため、高度な流体力学ソフトウェアと風洞を使用し最大の効率を生み出すように開発されたボディデザインも注目ポイントだ。
レギュレーションにより、ボディサイズは従来より250mm長く、100mm幅広く、100mm高くなったのに加え、TS050 ハイブリッドと比べて162kg重くなっている。しかもパワーが32%絞られているため、ル・マンでのラップタイムは10秒程度遅くなると予想されている。
カラーリングはFIA世界ラリー選手権(WRC)に参戦するヤリスWRCと共通性のあるもので、レースと市販車の強いつながりを示すGRの文字をコンセプトとしたものになっている。