1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は、4代目ゴルフのバリエーションについて語ろう。

V5や4バルブ化されたVR6エンジンなども搭載

画像: 左右2本出しのテールパイプが迫力を増しているR32。写真の車両はDSGと組み合わされていた。

左右2本出しのテールパイプが迫力を増しているR32。写真の車両はDSGと組み合わされていた。

GTIが使う基本的なエンジンは1.8Lのインタークーラー付きターボで、これはアウディが開発した5バルブ エンジンだった。排気量はゴルフ3の2.0Lよりも縮小されており、軽めにではあるが、ゴルフ5で注目されることになる「ダウンサイジング」がひと足早く実践されていたともいえる。この1.8Lは、日本仕様で150psを発生した。ヨーロッパではディーゼルターボのTDIを積んだGTIも存在し、ゴルフ4ではGTDと呼ぶモデルが存在しなかった。

さらに、世にも珍しいV型5気筒エンジンも搭載していた。これは、ゴルフ3で登場した狭角V6のVR6から1気筒落としたもので、排気量はV6の2.8Lに対し、2.3Lとなっている。出力は当初は150psで、その後170psに強化された。途中で強化されたのは、4気筒の1.8Lターボも同様で、2001年に発売されたGTIの25周年記念モデルでは180psまでチューンされた。この180ps仕様はその後、通常のGTIにも搭載されている。

VR6エンジンも健在で、GTI以外のグレードに積まれていたが、2002年には強化した3.2Lエンジンを積むR32が登場した。R32は新しいスポーティな「Rライン」というシリーズの第一弾であり、このあとフォルクスワーゲンの他モデルにも「R」のモデルが展開される。「R」は、要はメルセデスのAMGやBMWのMのようなスポーティグレードなのだが、例によって他のブランドと違って外観はあまり派手に装っていないのが特徴でもある。ただフロントの大型スポイラーや、当時としてはかなり大径の18インチホイールが、高性能をアピールしていた。

3.2Lエンジンは、排気量拡大に加えて従来の2バルブから4バルブ化され、最高出力は241psに到達した。最高速は約250km/hを誇り、ゴルフとしてはいきなり2段階以上の劇的なパワーアップを果たしたことになる。これを駆動するのはハルデックスカップリングを用いた4WDの4MOTIONであり、トランスミッションは6速MTが与えられたが、2003年には、フォルクスワーゲンとして初となる、いわゆるDCTのDSGが搭載されている。(文:武田 隆)

画像: R32に搭載された3.2LのVR6エンジン。従来までのVR6とはヘッド部分のデザインが変わっている。

R32に搭載された3.2LのVR6エンジン。従来までのVR6とはヘッド部分のデザインが変わっている。

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