フォルクスワーゲンの社内改革に貢献したゴルフ6
2008年に、ゴルフは6代目にフルモデルチェンジされた。これはゴルフ5誕生から5年目のことであり、このゴルフ6もその後4年で次世代にモデルチェンジする。この2世代は歴代ゴルフの中でもモデルライフが短かかった。
実際のところ、ゴルフ6はゴルフ5のビッグマイナーチェンジといってもよく、ボディ外板こそまったく様変わりしているものの、その中身はゴルフ5の大幅改良版というべきものだった。ただもちろん、フォルクスワーゲンとしてはゴルフのしっかり独立した1世代として位置づけている。
ゴルフ5が短期間でモデルチェンジした背景としては、フォルクスワーゲンの経営状態があまり芳しくないということがあった。フェルディナント・ピエヒ元会長が1990年代から進めた高級化路線、拡大路線に疑問符がつけられるようになり、大筋の路線は変わらないものの、仕切り直しが必要な状況になっていた。ピエヒ会長の後任、元BMWのベルント・ピシェッツリーダー会長は高級化路線を継承したといわれるが、新たに2007年1月にマルティン・ヴィンターコルンが会長に就任し、経営改革をすることになる。ゴルフ6は、それから約1年半後に発表されている。
ゴルフ6はデザインの改変も大きな注目点となったが、それ以前に、ゴルフ5の高コスト体質を改革するねらいがあった。ピエヒ時代に強力に推し進められた高品質化によって生産コストが高まり、しかも生産性にも問題が生じており、それがフォルクスワーゲンの経営を圧迫していた。ゴルフ6はそれを改善した。とはいえ、品質感を向上させるように仕上げているのは、もちろんのことだった。結果的にフォルクスワーゲンはゴルフ6で改革に成功して、そのクルマづくりの巧みさがいっそう評価されることになった。
また、次のゴルフ7ではフォルクスワーゲン グループのまったく新しいプラットフォーム「MQB」が導入されることになり、少なくとも結果的に、その導入スケジュールに合うように、ゴルフ5以来のシャシが延命されたことにもなる。