エンジンやモデルのバリエーション拡大は続く
ゴルフ6で具体的に変わったところを見ていくと、車体は高張力鋼板の多用などで剛性を高めたほか、ボディ外板が全面的に変わっており、デザインが変わったのはもちろんとして、同じホイールベースでありながら、タイヤに対して車体が少し後退して、たたずまいのバランスを良くした。フロントオーバーハングが13mm短く、逆にリアが7mm伸ばされている。
力を入れたポイントのひとつとして、静粛性の向上もあり、フロントガラスに遮音シートを挟みこんだり、フロアやホイールハウス内の遮音材を充実させた。風切り音も低減されている。
安全性では、初めてニーエアバッグを標準装備した。また各種の先進的なデバイスも目立ち、アダプティブクルーズコントロール(ACC)や、ダイナミックコーナリングライト、アダプティブシャシコントロール(DCC)なども採用された。
エンジンは、ゴルフ5の途中で鳴り物入りで導入されたTSIエンジンが、さらにバリエーションを広げている。1.4Lのツインチャージャー エンジンは、出力よりも燃費をより重視する方向に改変されて、最大出力は170psから160psへと抑えられた。燃費とコストに優れるTSIの真打ちともいうべきシングルチャージャー ユニットは、従来からの1.4Lに加えて、アルミブロックの1.2Lも新たに搭載。排気量のさらなるダウンサイジングを実践した。またディーゼルのTDIに、初めてコモンレール式が採用されている。
モデルのバリエーションとしては、スポーティモデルでは引き続きのGTIや、新たにR32から名を変えて4気筒エンジンに換装されたRが存在したが、大きなトピックスとしては、ゴルフ5に設定されなかったカブリオレが復活したことだろう。2011年に登場したカブリオレは、従来の固定ロールバーを廃したうえに、幌が電動開閉式となり、現代的になった。
そのほかのモデルとしては、引き続きゴルフ ヴァリアント、ゴルフ プラス(日本未導入)、トゥーラン(日本名ゴルフ トゥーラン)などが健在だったが、これらは、基本的にゴルフ5のときと同じデザインのままだった。ただ、フロントマスクだけはゴルフ6と同じ顔つきに改変されていた。そのゴルフ6で新たに採用されたフロントマスクは、フォルクスワーゲン ブランドにとって大きな意義があったのだった。(文:武田 隆)