「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、オープン2シーターの電気自動車、テスラ ロードスターだ。

ハイテンションの加速Gが延々と続く!

画像: エリーゼ同様に少しタイトなコクピットがスポーツカーらしい。センターコンソール部にシフト用のボタンが備わる。

エリーゼ同様に少しタイトなコクピットがスポーツカーらしい。センターコンソール部にシフト用のボタンが備わる。

ブレーキペダルを踏み込みセンターコンソール上のDボタンを押して、走行モード(前進)にセット。ブレーキを離してアクセルを踏み込む。その瞬間、強烈な加速Gが!・・・と思いきや、意外なほどあっけなく、スルスルっと動き出した。

予想を裏切る発進だったが、よく見ればトラクションコントロールが作動している。これをOFFにしてラフに扱ってもスキール音こそするものの、若干加速が良くなる程度。発進加速時のみ相当パワーを絞り込んだ設定がなされているようだ。その証拠に、いったん動き出してからの加速はとんでもないシロモノだった!

変速ギアを持たないから、加速Gはずっと同じ。ハイテンションのまま高速域まで、頭をヘッドレストに押し付ける。まるで旅客機が離陸する時の感覚だ。この時、キーンというインバーター音とゴーッというモーター音?などが混ざった、EVとは思えない勇ましいメカニカルノイズが響き渡る。

100km/hに到達するのは本当にあっという間。さらにそこからも、速度の上昇は鈍らない。これはとんでもない乗り物だ。最高速は200km/hプラスとカタログには記載されているが、これはリミッターによる制限が加えられたものだ。

ハンドリングはエリーゼそのものだが、少し重い。しかし、その重量はリアのトラクションに貢献している。トラクションコントロールをOFFにしてコーナリングを試みると、非常にグリップ感のある安定したドリフトを披露する。ONにしておけば、いつ作動したのかほとんど感じさせないままにフラットな姿勢でコーナーを駆け抜けていく。野蛮な動きは、かなり抑え込まれている。それゆえに、あまりにも躾が良すぎるところが、物足りない。

テスラ ロードスターは、いろいろな面の煮詰め次第で、まだまだパフォーマンスを高めるマージンが残されている。素材としては素晴らしいから、さらに磨いて輝きを増して欲しいものだ。

画像: コクピット後ろに重いバッテリーとモーターを搭載しているため、コーナリング時のトラクションにも貢献しているようだ。

コクピット後ろに重いバッテリーとモーターを搭載しているため、コーナリング時のトラクションにも貢献しているようだ。

■テスラ ロードスター スポーツ(北米仕様)主要諸元

●全長×全幅×全高:3940×1850×1127mm
●ホイールベース:2352mm
●車両重量:1235kg
●パワーユニット::375V空冷交流誘導モーター
●最高出力:215kW<288ps>/4400-6000rpm
●最大トルク:400Nm<40.8kgm>/0-5100rpm
●駆動方式:ミッドシップRWD
●航続距離:394km(カリフォルニア テスト基準)
●タイヤ:前175/55R16、後225/45R17
●当時の価格<税込み>:1280万円

This article is a sponsored article by
''.