「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、トヨタ MR-SをベースにGAZOOレーシングがプロトタイプとして公開した「GRMN スポーツハイブリッド コンセプト」だ。
GRMN スポーツハイブリッド コンセプト（2010年：プロトタイプ）
前後のトレッドをワイド化し、フェンダーも広げられて全幅は1.9m近い。バンパーやボンネットフードもオリジナルパーツだ。
今（編集部註：2010年）から5年ほど前、GAZOOレーシングがニュルブルクリンクでレクサス LFAなどを積極的に開発していたころ、カーボン製の真っ黒いオープン2シーターモデルが走っているのも見かけられた。当時、多くの雑誌では次期MR-Sかレクサス SCか？などと多くの推測記事が出ていた。
そのプロトタイプに、富士スピードウェイで短時間ながら試乗する機会を得た。ネーミングは「GRMN スポーツハイブリッド コンセプト」。実際にクルマを眺めてみると、ボディは明らかにMR-Sがベースであることは間違いなかったが、実際にはひとまわりもふたまわりも大きく感じられる。
ニュルブルクリンクで見かけた人が、その大きさから次期SCかと推測したのも無理はない。フロントもリアもエアダクトつきのワイドなフェンダーを装着し、リアにいたってはドアミラーに映る景色の多くをフェンダーが占めてしまうようなワイドぶりだ。後ろに回ると、IS Fのような排気管が左右にレイアウトされていて、迫力たっぷり。しかも、その内容は単なるミッドシップスポーツでも次期スポーツモデルのパイロット版でもなかった。
コクピットの後ろにミッドシップ搭載されたパワーユニットは3.3Lの3MZ-FEをベースにしたハイブリッドで、さらにフロントにもモーターを追加している。つまり、ミッドシップ ハイブリッド4WDモデルとして仕上げられていたのだ。
