量産燃料電池車(FCEV)の先駆となった、トヨタのミライ(TOYOTA MIRAI)が2代目に進化した。すべてをイチから見直した新型はどんな展望を見せてくれたのだろう。(Motor Magazine2021年4月号より)

自家発電所を持った電気自動車

初代ミライはデザインの奇抜さに度肝を抜かれたが、2代目はまずはその静かさにこちらの毒気を抜かれてしまった。

燃料電池車(FCEV)=水素で走るクルマというと、水素を燃やして走っていると勘違いされることが多いのだが、これは水素と大気中の酸素を化学反応させて電気を作り出しモーターで駆動する、つまり自家発電所を持った電気自動車である。

システムが複雑なので、たとえばBEVよりはさまざまな音がしそうなものだが、これほど静かなクルマってある? と思わずつぶやきたくなるくらいの静粛性の高さに、まず驚かされてしまった。

画像: 試乗車はオプションの20インチタイヤ&ホイールを履く。

試乗車はオプションの20インチタイヤ&ホイールを履く。

とりあえずエコモードで走り出してみたが、パワー的にはこれで十分。エネルギーフローを見ていると、発進時は発電した電力で動き出し、その後はバッテリーに蓄電した分を加えていく感じだが、とにかくダイレクト。ハンドルを切ってみても、さまざまなものを守るためにボディがガッチリしているので、操舵に対してスッと動きがついてきて気持ちイイ。

でも実は大人しいだけじゃない。アクティブサウンドコントロールをオンにして、スポーツモードに切り替えると、ちょっとやりすぎ!? というくらいの大きめサウンドで、気持ちもパワーも盛り上げてくれる。この時のステアフィールがもう少し自然だとなお良し。だが、まずは乗り物として楽しませようという姿勢は賞賛したい。

同時に燃料電池車(FCEV)の仕組みを生かし、PM2.5も捕まえるフィルターを通して空気を吐き出すことで、大気をよりキレイにするマイナスエミッションなる取り組みや、9kW/hの大容量電力を取り出せるなど、乗っている人以外のためにも役立つ仕組みもユニーク。これでインフラが整えば、いよいよ燃料電池車(FCEV)も楽しめる時代が到来!と感じられる。(文:竹岡 圭/写真:永元秀和)

画像: 水素と酸素を化学反応させて電気を取り出す新開発の燃料電池ユニット。新たにフロントに搭載された。

水素と酸素を化学反応させて電気を取り出す新開発の燃料電池ユニット。新たにフロントに搭載された。

トヨタ ミライ Z 主要諸元

●全長×全幅×全高:4975×1885×1470mm
●ホイールベース:2920mm
●車両重量:1930kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:134kW(182ps)/6940rpm
●駆動方式:RWD
●燃料種類:圧縮水素
●水素タンク容量:141L(前64L+中52L+後25L)
●水素有効積載量:約5.6kg
●一充填走行距離:約750km(※)
●タイヤサイズ:235/55R19
●車両価格(税込):790万円
※水素有効搭載量とWLTCモードによる燃料消費率を乗算した参考値

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