環境問題を考え、MX-30 EVにはあえて小さなバッテリーを採用
「一充電あたりの走行距離を256km(WLTCモード)に抑えた?」・・・どうやらMX-30 EVのバッテリーが、あまり大容量ではない。もちろんそこには理由がある。資源採掘から廃棄/リサイクルまでを通じたライフサイクルアセスメント(LCA)に基づく考え方だ。要は、小さいバッテリーの方がLCAトータルでのCO2 排出量が少ないのだという。
具体的には、同クラスのマツダ 3ディーゼルエンジン搭載モデルのLCAと同レベルの排出量になるように、電池容量を決めたという。さらに工場出荷時の充電には、工場内でソーラー発電した電気を使うなど、細かいところまで配慮されている。
各社が電動化にシフトしていく中で、とくにBEVの普及が推進されている本質的な目的を考えれば、このチョイスは「正解」と言えるだろう。電池がコンパクトなら車両重量も抑えられ=運動性能的にも有利・・・という視点もまた、実にマツダらしい。
![画像: 先行したMHEVモデルと同様に、フリースタイルドアを採用。居住性などでの変化はまったくない。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2021/03/09/c2fbd671054836180fd03bd014d7d3d360c69672.jpg)
先行したMHEVモデルと同様に、フリースタイルドアを採用。居住性などでの変化はまったくない。
MHEV(マイルドハイブリッド)仕様もマツダ車としては比較的、乗り心地がソフトだと感じたが、このBEVモデルはバッテリーパックを骨格として床下に配しているため、フロアまわりの剛性が上がっている。当然重心も低く、フットワークはさらにしなやかで、爽快な走りを楽しめる。
重量バランスもMHEVが前60:後40なのに対し、BEVモデルは前55:後45とセンター寄りに改善されている。電気モーターのメリットを生かしたエレクトリックGベクタリングコントロールプラスのサポートとあいまって、ハンドリングはさらに自然な操作感がある。さらにトルクの伝達遅れが、60%も低減されているという。
ユニークなのがパドルの使い方。回生ブレーキの強弱のみならず、アクセルペダルの踏み込みに対する加減速感についても自分で選べる。道路の勾配も加味されるなど、コントロール幅が広がる。
アクセルペダルを踏み込むと、作りこまれた「EVサウンド」が心地よく気分を盛り上げる。他のBEVとは違う、新時代の「人馬一体」感がそこにあった。(文:竹岡 圭/写真:森山良雄)
![画像: 近い将来、空いたスペースにロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーモデルが設定される予定だ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2021/03/09/93a2ee878400a74440f8f0718839dc4ffa4bbd9d.jpg)
近い将来、空いたスペースにロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーモデルが設定される予定だ。
マツダ MX-30 EV ハイエスト セット 主要諸元
●全長×全幅×全高:4395×1795×1565mm
●ホイールベース:2655mm
●車両重量:1650kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:107kW(145ps)/4500-11000rpm
●最大トルク:270Nm/0-3243rpm
●バッテリー総電力量:35.5kWh
●WLTCモード航続距離:256km
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格(税込):495万円