1980〜1990年代にかけて「クロカンブーム」を支えた4WDが各自動車メーカーから続々と発売された。この連載企画では、今でいうSUVとは、ひと味もふた味も異なる「泥臭さやワイルドさ」を前面に押し出したクロカン4WDを紹介する。第26弾はいすゞ「Mu(ミュー)」だ。

車名「Mu(ミュー)」の意味は、「Mysterious Utility」の頭文字だった

「MYSTERIOUS UTILITY(ミステリアス ユーティリティ)」の頭文字を取って「Mu(ミュー)」。ラダーフレームを持つワイドトレッド車、それでいて2シーター、3ナンバーのパートタイム4WD。しかも5速MTのガソリン車のみ。荷物もそれほど積めない、だけどなんか新しくて魅力的な車両、いすゞ「ミュー」が1989年にデビューした。

ワイドトレッド(全幅1780mm)とショートホイールベース(全長4135mm)のモコっとしたボディに、「ハードカバー」と「ソフトトップ」をラインアップした。斬新な形状のボディは、極太のBピラーより後ろがオープンになり、さらにイメージカラーをパステルグリーンにするなど、遊び心に溢れたミューは、ありきたりでは物足りない若年層に大ウケした。

画像: ミューが登場してから1年後の1990年に登場したメタルトップ。写真はオプション装着車。

ミューが登場してから1年後の1990年に登場したメタルトップ。写真はオプション装着車。

搭載エンジンは、「ビッグホーン イルムシャーG」と同じ、2559cc 直4ガソリンエンジンの4ZE1型(最高出力120ps/最大トルク20.0kgm)のみでスタートした。しかし、翌年にはメタルトップの4シーターモデルに2771cc 直4ディーゼルターボの4JB1-T型(最高出力110ps/最大トルク23.0kgm)を追加。さらに1991年には電子制御の4速AT車も加わり、さらなるユーザー層の拡大を図った。

1993年、ガソリンエンジンと2シーターハードカバー車を廃止し、ボディはメタルトップのみとなった。そしてエンジンは3059cc 直4ディーゼルターボの4JG2型(最高出力120ps/最大トルク27.5kgm)に変更。さらにブレーキは4輪ディスク化され、タイヤを15インチから16インチにサイズアップするなどの改良が施された。

なお、同年の1993年から3年間、いすゞはホンダに「ジャズ」と言う車名でミューのOEM供給を実施した。ミューとの相違点は、アルミホール、シート表皮、ドアトリムとエンブレム、ボディカラーなどだった。

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