「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、スズキ スイフト(3代目)だ。

形式は先代と同じだが進化したサスペンション

画像: インテリアはデザインを一新。スポーティな2眼メーターは見やすく、XSのCVTはパドルシフトも装着される。

インテリアはデザインを一新。スポーティな2眼メーターは見やすく、XSのCVTはパドルシフトも装着される。

では、そのサスペンションは先代と何が変わったのだろうか。前後サスペンションレイアウトは先代と同じフロント:ストラット/リア:トーションビーム式を踏襲しているのだが、リアセクションのしっかり感が高くなっている。どんなハードなコーナリングをさせても軽薄さを感じさせない。

トーションビームとはリア左右のサスペンションどうしを直結させる棒のことだが、これを二重構造にすることでこれまで中心に通していたスタビライザーを廃し、2kg軽量化しながら剛性をアップした。そして、サスペンションアームのボディ側ブッシュ取り付け位置の角度を変更し、ボディ側取り付け部の剛性を50%も上げている。

この安定性を増したリアに対してフロント側は可変ギアレシオステアリングで対応。据え切り時の操作感が重くなることなく、小中舵角でのクイックなステアリング操舵感を出している。15インチホイール装着車なら最小回転半径も4.8mと小さくなって扱いやすい。

世界戦略車らしく世界中の過酷な条件でテストを繰り返してきたというだけに、サーキットはもちろん、より路面の悪い箱根のワインディングロードでも非常に安定した、しかも楽しいハンドリングを実現している。

エンジンは、若干のダウンサイジングで軽量な1.2Lのみの設定。これまで吸気側だけだったVVT(可変バルブタイミング機構)を排気側にも設定。徹底的に駆動ロスを低減することで3000〜4000rpmのトルクの落ち込みをカバーしている。ただし、絶対的なパワー不足は否めず、これに対しては副変速機を備えたCVTによってカバーしている。

その力感は、発進から高速域までスムーズでレスポンスも良いが、正直なところ過給器によるプラスアルファが欲しいと感じられることも確か。サスペンションが良いだけに、今後登場するであろう「スイフト スポーツ」に期待したいところだ。

画像: 先代に比べて静粛性も高くなり、ボディは剛性が高められて、きわめてしっかりした印象だ。

先代に比べて静粛性も高くなり、ボディは剛性が高められて、きわめてしっかりした印象だ。

■スズキ スイフト XS 主要諸元

●全長×全幅×全高:3850×1695×1510mm
●ホイールベース:2430mm
●車両重量:990kg
●エンジン種類:直4 DOHC
●排気量:1242cc
●最高出力:67kW<91ps>/6000rpm
●最大トルク:118Nm<12.0kgm>/4800rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:23.0km/L
●タイヤ:185/55R16
●当時の価格<税込み>:147万5300円

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