ドイツとフランスを代表するDセグメントステーションワゴンである優等生のアウディA4アバントとプジョーのフラッグシップ 508SW。今回はディーゼルモデル同士でその存在価値を検証してみた。

どちらも2Lディーゼルターボだがその特性は異なる

では走りっぷりはどうか。今回の2台は、ともにディーゼル仕様。しかも奇しくも両車、2L直列4気筒ターボとなる。A4アバントのTDIは、最高出力190ps、最大トルク400Nmで7速Sトロニック、そしてクワトロ4WDシステムを組み合わせる。始動直後には多少ガラガラという音が聞こえるし、加速時にもガ行の音が耳に入るが、暖まってくると気にならなくなる。ただし、試乗車はアコースティックガラス付きだったので、そこは勘案しておかなければならないが。

1750〜3000rpmという広範囲で最大トルクを発生するエンジン特性に対して、Sトロニックは4速あたりまで非常にクロスしたギア比を持つため、発進加速ではまさに矢継ぎ早のシフトアップで瞬く間に速度を高めていく。リズミカルで爽快な加速感だ。Sトロニックの変速の速さ、ダイレクト感もこの小気味良さにひと役買っている。

しかも、そのままアクセルペダルを踏み込めば、トップエンドまできれいに回り切ってもくれるのだ。トルクフルで小気味良い加速感に、胸のすく伸び。ディーゼル云々という枠を超えて、実に情感を刺激する内燃エンジンである。

508SWのエンジンは、さらに野性味が強い。とくに低回転域では始終ガラガラという音、振動が入ってきて、今どきのエンジンとしてはあまり洗練されていないという印象も受ける。しかしながらトルクは分厚く、発進から中間加速まで、アクセルペダルを深く踏み込まなければならない場面はほとんどない。この音や振動も力強いトルク感とマッチしていて、走らせているとどんどん気にならなくなってくる。

ギア比の考え方もだいぶ違っていて、A4アバントの3速の守備範囲が90km/h弱あたりまでなのに対して、508SWの3速は100km/hを超えてもまだ伸びる。エンジン自体はさほど伸びが良いわけではないが、地力でグーッと速度を押し上げていくところは、まさにディーゼルらしい味わいだ。

トータルで見れば、ディーゼルエンジンらしからぬ洗練されたフィーリング、そしてパワー感が際立つA4アバントに対して、ディーゼルならではの旨味が濃い508SWといった感じだろうか。パワーや燃費といった結果は似たようなものでも、そこに至る過程は大きく異るのだ。

画像: 美しく、そして品 位に満ちたシューティングブレークスタイルで見るものを魅了する508SW。緩やかな下降線を描くルーフラインは、スポーツクーペのようなスリークな佇まいを持っている。

美しく、そして品 位に満ちたシューティングブレークスタイルで見るものを魅了する508SW。緩やかな下降線を描くルーフラインは、スポーツクーペのようなスリークな佇まいを持っている。

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