「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、3代目のスバル フォレスターだ。

スバル フォレスター(2010年:3代目 マイナーチェンジ)

画像: マイナーチェンジ前モデルとの外観上の違いは、フロントグリルや、LEDサイドターンランプ付きドアミラーなどで存在感を向上させている。

マイナーチェンジ前モデルとの外観上の違いは、フロントグリルや、LEDサイドターンランプ付きドアミラーなどで存在感を向上させている。

フォレスターがマイナーチェンジされ、21年ぶりの新エンジンを搭載した。FB型と呼ばれる新ボクサー(水平対向)エンジンは燃焼室のコンパクト化やヘッドまわりの設計を工夫することで、全幅をそれほど変更せずに済み、従来のEJ型がショートストロークだったのに対し、ロングストローク化を図ることに成功した。

ロングストロークエンジンは高回転でパワーが出しにくいが、低中速トルクが出しやすく、実用燃費とドライバビリティに優れている。さらに、フリクションの徹底した低減を図った。また、各部をすべて新設計したことで、軽量化も徹底することができた。この新世代の水平対向エンジンには2.5Lと2Lがあることが公表されているが、今回は2Lエンジンを搭載したフォレスターに乗ってみた。

走り出してみると、まず従来のEJ型以上に振動が少ないことに気づかされた。もともとボクサーエンジンは振動が少ないが、新型はブロック剛性が一段と上がったようで、滑らかに回転する。アイドリングも静かだ。加速時のエンジンノイズが明らかに小さくなっている。しかも、低中速トルクが豊かになっている。少し回転を上げ気味にして加速していたEJ型に対して、このFB型はそこまでアクセルペダルを踏まなくとも余裕で加速し、低回転でエンジンが苦しそうに回ることもない。むしろ余分にアクセルを踏まなくても済むため、結果的に燃費の改善に役立っているようだ。

その反面、高回転ではEJ型より回転の伸びは鈍化するように感じた。もうひとつ気になったのは、トランスミッションが4速のトルコンATのみの設定となっていること。スバルのATには5速もあるが、FB型の2L自然吸気には設定されていない。それでも、この4速ATはマニュアルモードを備えておりロックアップ領域を広く取っているので、燃費改善とドライバビリティを高次元でバランスさせている。4速100km/hでのエンジン回転数は2200rpmに過ぎず、悠々とクルージングできる。この回転域でのエンジンノイズはいたって静かだ。

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