キャッチーな両モデルに採用されたビッグキドニーグリル
6世代目のニューM3(G80)、そして2世代目となるニューM4(G82)のデザイン上でもっとも大きな特徴は、縦長のビッグキドニーグリルである。2019年フランクフルトモーターショーで公開された「コンセプト4シリーズクーペ」で披露されたこのグリルだが、これはM4専用でM3は小さなスタンダードサイズかと予想していたが、両方のモデルに採用された。
最新Mモデルの試乗会は、ミュンヘン郊外のBMWテストカーセンターを起点に行われた。まずハンドルを握ったのはM3コンペティションセダンだ。アイキャッチャーは、もちろんビッグキドニーグリルだ。フロントスカート両脇に大きく広がったエアインテーク、フロントタイヤ付近の過流を防ぐエアカーテン用スリットがダイナミックでスポーティな表情を作る。
ボディまわりでは2本のフィンが入ったルーフ/ドアミラー/トランクリッドスポイラー、さらに4本出しマフラーまわりのディフューザー(オプション)などカーボン製パーツが装備されている。インテリアはカーボン、レザーそしてアルミニウムトリムで囲まれている。未来的なデザインで身体をしっかりと包み込むスポーツカーボン製シート(オプション)は10kgの軽量化に貢献している。
搭載される新型3L直6ツインターボエンジン(S58)の最高出力は510ps、最大トルク650Nmで、0→100km/h加速3.9秒、最高速はオプションのMパッケージ装備で250km/hから290km/hへと跳ね上がる。カーボンでカバーされた幅広のスポークに各種スイッチ類が並ぶハンドルのグリップは太めで頼もしい。真っ赤なスタートボタンを押し、アイドリングが800rpm付近で落ち着いたところでレンジをセレクトしてスタート。ドライブプログラムをノーマルに選択してアウトバーンへ向かう。
新しいMエンジンは燃料噴射圧がそれまでの200バールから350バールへ高められており、洗練されたエンジンフィールが感じられる。ZF製8速ATはスムーズで、コンフォートモードでは軽いショックも感じさせないままトップギアまで到達、クルージングを始める。
乗り心地は固められたシャシにもかかわらず予想外に快適で、最新のADAS(アドバンスドドライバーアシスタンスシステム)も完備しているので、4ドアのM3セダンは渋滞を含む日常のドライブにも十分に使用できる。もちろんその気になれば、さまざまなスポーツドライブモードを駆使してのスポーツ走行も可能だ。