2008年秋、E90型BMW3シリーズがフェイスリフトを受けて日本に上陸した。変更はいわゆるマイナーチェンジレベルのものではあるが、Motor Magazine誌が特集を組むほど大きな注目を集めている。それはDセグメントのベンチマークとして人気の高いBMW3シリーズが、実質的かつ強力な進化を遂げていたからだ。ではその進化とはどいいうものだったのか。ここでは、320i、 325i ツーリング、335iの3台を日本の道を走らせたインプレッションを振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年1月号より)

日本の道を走りながら作り込まれたiDrive

見た目上に明確な変化を見せるエクステリアに対し、インテリアでのマイナーチェンジのハイライトは「iDriveの操作ロジックの大幅刷新」とより実質的だ。デザイン上では、これまで同様センターコンソール上に置かれたコントロールダイヤルの周囲に新たなスイッチが増えた程度だが、いざ使えばその操作性が、従来型とは比べものにならないほどに向上していた。

そもそもiDriveは、フラッグシップである7シリーズを筆頭に、まずは増加の一途を辿る各種の装備品の数に対応して増え過ぎたスイッチ数を削減するために開発されたマルチメディアコントロールシステム。ダッシュボード上の様々なスイッチ類の多くを整理して、特定の操作が必要な場合には前述ダイヤル式のコントローラーからモニター画面上に呼び出して操作を行い、それが終了したら再び表示階層の下へと隠してしまう、というのがその基本ロジックになっていた。

確かにこれによりダッシュボードはスッキリした。しかし、ある特定のメニューへと辿り着くために複数回の作業が必要なことが多くなり、むしろ操作が複雑化するという弊害も生じていたのがこれまでのiDriveだった。

そこで、ダイヤル周辺に各メニューを直接選択するためのボタンを配したのが、「新iDrive」の第一の特徴。ちなみにダイヤル前方に5つ、後方に2つのボタンをレイアウトしたコントローラー部全体のデザインは、新型7シリーズに採用のシステムと同一だ。

コンソール上のコントローラーと共に、新しい3シリーズのマルチメディアシステムの操作性向上に大きな役割を果たしたのが、空調操作パネル下部に並んだ6つの「プログラマブルボタン」の存在。

タッチスイッチとプッシュスイッチの2つの機能を同時に司る凝った作りのこのボタンは、ラジオの周波数やナビゲーションの目的地、電話番号やその他頻繁に使うメニューなど、iDriveの好みの機能を予め登録しておくことでダイレクトに呼び出すことを可能とする。

走行中の振動下でも狙ったボタンへと確実にタッチできるように、横一線に並んだボタンの下にフィンガーサポート用のバー状の突起が設けられた点にも感心しきり。ことほどさように、今度のiDriveは「走りながら作り込んだ」という印象を強く受けるものなのだ。

さらに「ダメ押し」をするかのごとく「スピーチコントロール」と銘打たれた音声入力システムもオプション設定。そして、これまでは慣れないと意味を理解し難かったナビ画面内のピクトグラム(絵文字)上をフォーカスすると、その機能の説明文が表示されるなど細かいプログラムの変更も見逃せない。そして、そうした表示はわかりやすい日本語によって行われる。かくして、今や世界中のモデルの中でも文句ナシに最も高度なマルチメデァアコントロールシステムと紹介できるのがこの新しいiDriveなのである。

一方、今回は走りの機能にかかわる変更点は報告されていない。欧州仕様では4気筒モデルに電動式パワーステアリングとストップ&スタート(アイドリングストップ)機構をセットで採用するものの、MT仕様車に限られるので日本市場への適用はナシ。それゆえに、日本では外装面でのリファインや、iDriveのバージョンアップなどが今回のマイナーチェンジの主なメニューとなっているのだ。

 

画像: 今回のマイナーチェンジでインテリアに大きな変更はなく、そのハイライトは「iDriveの操作ロジックの大幅刷新」と実質的。

今回のマイナーチェンジでインテリアに大きな変更はなく、そのハイライトは「iDriveの操作ロジックの大幅刷新」と実質的。

This article is a sponsored article by
''.