数少ないワゴンの該当モデルV60は最先端の装備も特色
そしてステーションワゴンである。こちらはセダンよりも価格帯が若干上がるので選択肢は少ないが、その中での筆者のお勧めは499万円のボルボ V60 B4モメンタムだ。先代V60のスポーティさとV70のユーティリティを融合させたステーションワゴンの王道を行く一台である。
外観は次世代ボルボ共通のデザインアイコンと、フロントオーバーハングが短くてノーズが長い横置きFFモデルながら、あたかもFR車のようなプロポーションが特徴だが、ドイツ御三家と比べても引けを取らないカッコ良さだ(ちなみにほぼ同仕様の4ドアセダン、ボルボS60 B4モメンタムも、499万円という同価格で用意されている)。
インテリアは9インチのタッチスクリーン式大型ディスプレイが特徴の次世代ボルボ共通レイアウトだ(これは全車標準装備)。シートは専用の「Tテックテキスタイルコンビネーション」と呼ばれるファブリック/合成皮革のコンビ仕様だが、上級モデルの本革シートよりスウェーデンらしさが強いコーディネートで、むしろ積極的に選びたいくらいである。
パワートレーンは2Lターボ(197ps/300Nm)+48Vマイルドハイブリッド(13.6ps/40Nm)で、8速ATとの組み合わせ。この電動化は、燃費向上に加えて滑らかなフィーリングやサウンドにも寄与するが、あくまで実用に徹した黒子的存在だ。
V60のフットワークは、新世代プラットフォーム「SPA」の中ではスポーティな性格だが、このB4モメンタムはシリーズ唯一の17インチタイヤ仕様ということもあり、路面からの当たりの柔らかさや正確性は高いが穏やかな操舵特性など、全体的に優しい感じだ。常にワクワクドキドキなジュリア スプリントとは対照的で、常に冷静でいられる乗り味ともいえる。
先進運転支援アイテムは、周囲360度をカバーする鉄壁のシステムを全車に標準装備。このあたりは、安全に差を付けないボルボらしい部分と言えるだろう。
チェックすべき価値を備えたハイレベルな存在の508
このところ話題豊富なプジョーでは、499万4000円の508SW GTラインが注目される。シャープで先進的な内外装のデザインが特徴で、最新プジョー車はプレミアムブランド顔負けのクオリティを備えている。エンジンは1.6Lターボ(180ps/250Nm)で8速ATとのコンビネーション。スペック以上の力強さと小気味良いフィーリングを備え、ベーシックエンジンとは思えないほどスポーティだ。
フットワークは、電子制御ダンパー採用のアクティブサスペンションと18インチタイヤ&ホイール。クルマがひとまわり小さく感じるスポーティなハンドリングと軽やかな乗り心地とのバランスは、キビキビなのに優しい・・・というフランス車ならではの独特な乗り味だ。先進運転支援システムも充実しており、オプションだがナイトビジョンまで用意される。
そろそろ結論に行こう。アンダー500万円となると、ほとんどのモデルがベーシックグレードとなるが、筆者はそうしたグレードにこそ、そのクルマの本質が宿ると考える。そんな「素うどん」のような旨みを持ったモデルを、ぜひとも体感してみてほしい。(文:山本シンヤ/写真:小平 寛)
アルファロメオ ジュリア2.0ターボ スプリント 主要諸元
●全長×全幅×全高:4645×1865×1435mm
●ホイールベース:2820mm
●車両重量:1590kg
●エンジン:直4 SOHCマルチエアターボ
●総排気量:1995cc
●最高出力:148kW(200ps)/4500rpm
●最大トルク:330Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・58L
●WLTCモード燃費:12.4km/L
●タイヤサイズ:前225/45R18、後255/40R18
●車両価格(税込):460万円
ボルボ V60 B4モメンタム 主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1850×1435mm
●ホイールベース:2870mm
●車両重量:1710kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+モーター
●総排気量:1968cc
●最高出力:145kW(197ps)/4800-5400rpm
●最大トルク:300Nm/1500-4200rpm
●モーター最高出力:10kW(13.6ps)/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTCモード燃費:12.8km/L
●タイヤサイズ:225/50R17
●車両価格(税込):499万円
アンダー500万円で選べる・・・BMW 318i:495万円
318iは2020年8月に追加設定されたセダンのエントリーグレード。現行型3シリーズ初のアンダー500万円モデルとして登場した。2Lターボエンジン搭載でパフォーマンスも十分。同年9月に318iツーリングもデビューするが523万円ゆえ、今号のテーマからは外れる。
アンダー500万円で選べる・・・メルセデス・ベンツ C180:489万円
ベースモデルとしてCクラスを支えるC180だが、2019年9月からエンジンを一新。それまでの1.6Lターボから1.5Lターボに変更され、9速ATと組み合わされる。レーダーセーフティパッケージ標準装備。新型デビューも間近いが、熟成された乗り味はいまも秀逸。
アンダー500万円で選べる・・・プジョー 508SW GTライン:499万4000円
最新プジョーの積極的な姿勢が強く感じられるワゴンの508SWとセダンの508。たっぷりとしたボディサイズと質実剛健なパワートレーン、優れたプラットフォームによる立派なDセグメントモデルだがプライス面での魅力も大きい。 1.6Lガソリンターボエンジンモデルはともにアンダー500万円だ。
アンダー500万円で選べる・・・アウディA4 35TFSI:455万円
A4セダンのベースモデルは思い切った価格設定でアンダー500万円マーケットにデビュー。シリーズ唯一のベーシックなLEDヘッドライト仕様で、独自の表情を備えたフロントフェイスも特徴。10本スポークデザインのホイールも専用設定だ。装備も含めて質実剛健な在り方に潔さを感じるモデル。