序盤リードのヒュンダイにトラブル、トヨタのエバンスが逆転勝利
ポルトガルは今季初のグラベルラリー。スタート順がタイムに大きく影響するため、選手権ランキング1位のトヨタのオジェがラリー初日金曜日に不利な先頭スタートとなり、ランキング3位のエバンスも3番手スタートと苦戦が予想された。
案の定、序盤を席巻したのは3台のヒュンダイ。実戦初体験となるピレリのグラベルタイヤとのマッチングもよく、金曜日午前の3ステージを終えてソルド、オィット・タナック、ティエリー・ヌーヴィルのオーダーで1-2-3体制を作り上げ、トヨタ勢を圧倒した。
ヒュンダイは午後のSS4〜6でも1-2-3体制を堅持するが、この日の最後のロングステージとなるSS7で、想定外の事態が起きる。
まず、2番手に浮上していたヌーヴィルがペースノートの記載ミスからタイトな高速コーナーにオーバースピードで進入、派手な転倒を喫してデイリタイアを余儀なくされてしまう。さらには首位のソルドもタイヤの摩耗に悩まされて大きくタイムロスし3番手に、その後さらにタナックとエバンスに抜かれて4番手にまで後退したのだ。
ヒュンダイの悲運はそれだけに留まらなかった。土曜日の午後には、2番手にエバンス以下を突き放して首位を独走していたタナックがサスペンションを壊してストップ。これで首位に立つこととなったエバンスは、僅差で追いすがっていたソルドを日曜日朝のステージで突き放して今季初優勝を確定させた。
先頭スタートで初日は下位に沈んでいたオジェも、ヒュンダイ勢の脱落で3位まで浮上してフィニッシュ。最終パワーステージ3位での獲得ポイントと合わせ、ドライバーズ選手権のポイントリーダーを堅持。ランキング2位にはエバンスが浮上し、マニュファクチャラーズ選手権でもトヨタがヒュンダイに水を開けるかたちとなった。
乱戦を冷静に戦った勝田、自己最上位の4位でフィニッシュ
トヨタ・ヤリスWRCでフル参戦する勝田貴元は、有利なスタート順も活かして序盤から好タイムを並べ、ヒュンダイ勢にトラブルが連発したラリー中盤からはオジエと順位を入れ替える接戦を展開。最終的にはほぼノートラブルで波乱の多かったラリーを走り切り、自己最上位の4位でフィニッシュした。
勝田本人は「間違いなく、前に進めましたが、まだ表彰台を狙える段階じゃない。他のドライバーに比べて上手く走れなかった場所もあるし、改善点は多いです」と冷静だったが、トップドライバーとの差が縮まっていることは確か。今後の成長と好結果にもかなりの期待ができそうだ。
第5戦ラリー・イタリア・サルディーニャは6月3〜6日にサルディーニャ島東部のオリビアを起点に開催される。ラリー・ポルトガルに続くグラベル(未舗装路)イベントで、気温が上昇することも多く、ドライバーとクルマにとって非常にタフなラリーとなる。
2021 WRC第4戦ラリー・ポルトガル 結果
1位 E.エバンス(トヨタ ヤリス WRC)3h38m26.2s
2位 D.ソルド(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+28.3s
3位 S.オジェ(トヨタ ヤリス WRC)+1m23.6s
4位 勝田貴元(トヨタ ヤリス WRC)+2m28.4s
5位 G.グリーンスミス(フォード フィエスタ WRC)+4m52.7s
6位 A.フルモー(フォード フィエスタ WRC)+5m03.4s
7位 E.ラッピ(フォルクスワーゲン ポロ GTI R5) +9m37.2s
8位 T.スニネン(フォード フィエスタ WRC)+11m20.0s
9位 M.オストベルグ(シトロエン C3 ラリー2)+12m01.5s
10位 N.グリアジン(フォルクスワーゲン ポロ GTI R5) +12m35.8s
2021 WRC ドライバーズランキング(第4戦終了時)
1位 S.オジェ(トヨタ) 79
2位 E.エバンス(トヨタ ) 77
3位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ) 57
4位 O.タナック(ヒュンダイ) 45
5位 K.ロバンペラ(トヨタ) 41
6位 勝田貴元(トヨタ) 36
2021 WRC コンストラクターズランキング(第4戦終了時)
1位 トヨタ 183
2位 ヒュンダイ146
3位 Mスポーツ フォード 64