留まることを知らないクルマの電動化の波。それにともない、内燃機関主流の時代では馴染みのなかったクルマ用語が、これまた次から次へと登場してきている。そんな中「ちょっと乗り遅れたかもしれない」と不安を感じたあなたのために、ベーシックな電動化モデル関連用語の解説を10回に分けてお届けする。掲載第6回目は、「直流」電力と「交流」電力がテーマだ。千里の道も一歩から!なのである。

「直流」で急速充電、「交流」で普通充電に対応

電気は、直流(DC)と交流(AC)の2種類がある。直流は電気の流れる方向が一定で、交流は流れる方向が定期的に反対になる。身近なものを例にすれば、直流は乾電池で、交流は家庭のコンセントで利用しているものとなる。交流の電気は、電圧を変化させることが簡単で、しかも長距離への送電に向いていることもあり、家庭や工場などが使う電気に採用されている。

EVは、直流と交流の電気の両方を利用する。搭載する電池は直流で、モーターには交流の電気を使っている。モーターは直流でも交流でも回すことはできるが、交流で回した方が、より緻密な制御が可能なのだ。

画像: EVには直流対応の急速充電口と交流対応の普通充電口の2タイプが用意される。(アウディeトロン スポーツバック)

EVには直流対応の急速充電口と交流対応の普通充電口の2タイプが用意される。(アウディeトロン スポーツバック)

そのためEVには、直流と交流の電気を変換させるインバーターとコンバーターが備えられており、狭義の意味で、直流を交流に変化させるものをインバーターと呼ぶ。またその逆、交流から直流への変換を行う機器がコンバーターとなる。ただし、インバーターは「逆変換器」を意味するため、広義としてインバーターとコンバーターの両方をまとめて、インバーターと呼ぶこともある。

そのインバーターを使うことで、電池に蓄えられた直流の電力を、交流に変換してモーターを駆動するのだ。また、家庭用の100Vや200Vの交流の電気をインバーターで直流に変換して電池に充電を行う。

直流の急速充電と交流の普通充電では、充電用プラグの形状が異なる。そのため、EVには直流用と交流用、ふたつの充電口(ソケット)が用意されているのが普通だ。プラグの形状が異なるため、直流と交流の違いを理解していなくとも、使用時に直流と交流を間違えることはない。また、日本では東日本と西日本で交流電気の周波数が異なるが、そうした違いに対してはEVが自動的に対応している。(文:鈴木ケンイチ)

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