パワフルなエンジンと絶妙な乗り心地の好バランス
強めにダンピングを効かせた足まわりは、路面からの入力による車体の振動も瞬時で収束させるとともに、姿勢変化も起こしにくい。そして、ジオメトリーの最適化を図ったサスペンションにより、タイヤが常に粘りつくように路面に追従している感覚があり、攻め込んでもブレークする気配を感じさせない。
ステアリングはクイックで、操作に遅れることなく期待どおりターンインできる回頭性の良さも印象的だ。コーナー立ち上がりでは、フロントが逃げてアンダーステアに転じることもなく、アクセルで姿勢を作っていける、FR的なハンドリングだ。常にイメージどおりのラインをトレースしていける。
FFながら最高出力の250psをうまく受けとめるクルマなど、これまでそうそう存在しなかったと思われるが、このクルマはほぼ理想的といえるだろう。フロントにブレンボ製のモノブロックキャリパーを持つブレーキングパワーも強力そのもの。一方で、乗り込んでしまえば、後席の居住空間も十分だし、外見から想像するよりもずっと広いスペースが確保されたラゲッジルームなど、実用性の高さも特筆すべき点だ。
この内容で385万円という車両価格は、かなりのバーゲンプライスであることは間違いない。やはりモータースポーツを知り尽くしたメーカーが手がけたスポーツモデルは出来が違う! と、とても心打たれた1台だった。
■ルノー メガーヌ ルノースポール 主要諸元
●全長×全幅×全高:4320×1850×1435mm
●ホイールベース:2640mm
●車両重量:1430kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:184kW<250ps>/5500rpm
●最大トルク:340Nm<34.7kgm>/3000rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:未発表
●タイヤ:235/40ZR18
●当時の車両価格(税込):385万円