従来モデルより全長は20mm長く、全幅は30mmワイド。そして室内空間もわずかに拡大。プラットフォームはMQBを採用するなど、先代からキャリーオーバーされた部分も多くある。それだけにニュー A3シリーズの熟成度合は高い。触れて感じたその仕上がり具合を見る。(Motor Magazine2021年7月号より)

Sは別格のパフォーマンス。見事な俊足ホットハッチぶり

さて、となると私の中でこれまでずっとA3シリーズの本命であったクワトロモデルのS3はどうだったのでしょう?これが実に良かったのです。それじゃぁ話が・・・とツッコまれそうですが、こちらはA3シリーズのクワトロモデルのエンジンとは、同じ2Lターボでもまったくの別物を載せています。「S」なのですから。

しかもこのボディサイズで最高出力310psに最大トルク400Nm、そして車両重量は1560kg。ファーストエディション同士では、1L 3気筒ターボエンジン搭載のFFモデルであるA3との重量差は240kg。ただしそれも、200ps/200Nmという圧倒的な出力差をもってすれば何のことはなく、見事な俊足「ホットハッチ」に仕上がっていました。

とくに、ドライブモードをダイナミックに切り替えると大変身。アクセルオフ時に聞こえてくる、アフターファイア音のような「ボンッ」という音色も耳に心地良く、アグレッシブな気分にさせられます。ダンパーも可変型の電子制御式を搭載、リアサスペンションは4リンク式となり、だからというわけではありませんが路面を捉える力量は明らかに上で、路面のギャップも華麗に乗り越えてくれます。

画像: S3スポーツバック ファーストエディション。乗り心地と走り味 のバランスが実 に見事。

S3スポーツバック ファーストエディション。乗り心地と走り味 のバランスが実 に見事。

トラクション系の電子制御も見事なマッチングで、たとえば発進時にラフなアクセルペダル操作を行っても、ホイールスピンひとつすることなく、スルリと動き出すのです。さらにS3用の7速DCT(Sトロニック)は大容量の湿式型で、極低速時などにアイドリングストップとの不相性がまれに顔を覗かせることはありましたが、それも気にならない程度と割り切れるぐらいにこなれているのも美点でした。

S3のファーストエディションは19インチタイヤ&ホイールを装着しているので、おそらく標準仕様の18インチサイズの方が乗り心地は良さそうですが、これでも十分に毎日、街中で苦もなくお買い物に行けるレベルにまとめられています。というよりも、かる〜く流して走らせているだけならば「今度の新型S3って、ずいぶんと大人しくない?」と、その性能を疑いたくもなるくらいにおしとやか。

「能ある鷹は爪を隠すっていうのは、こういうことなのか!」などと、独りごちたくもなるくらいのお利口さんだ、と記しておきます。

しかし、それより驚いたのはA3ファーストエディションの方。S3に比べれば手が届きやすいが、決してお安いプライスではない。だが、これがなかなかどうして・・・。 この際言い切ってしまえば、これまで私は「A3って高いよねぇ〜」とこぼしてきましたが、今回はその金額を出すだけの価値はあると、素直に納得させられてしまいました。

う〜む、お見事でございます!(文:竹岡 圭/写真:永元秀和、伊藤嘉啓)

アウディ A3スポーツバック ファーストエディション 主要諸元

●全長×全幅×全高:4345×1815×1450mm
●ホイールベース:2635mm
●車両重量:1320kg
●エンジン:直3DOHCターボ
●総排気量:999cc
●最高出力:81kW(110ps)/5500rpm
●最大トルク:200Nm/2000-3000rpm
●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・47L
●WLTCモード燃費:17.9km/L
●タイヤサイズ:225/40R18
●車両価格(税込):453万円

アウディ S3スポーツバック ファーストエディション 主要諸元

●全長×全幅×全高:4350×1815×1440mm
●ホイールベース:2630mm
●車両重量:1560kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1984cc
●最高出力:228kW(310ps)/5450-6500rpm
●最大トルク:400Nm/2000-5450rpm
●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・56L
●WLTCモード燃費:11.6km/L
●タイヤサイズ:235/35R19
●車両価格(税込):711万円

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