ロールバーが格納式になってデザインがスッキリ
最初に話を聞いた時、てっきり舞台は「オーストラリア」かと思った。何しろクルマは新型MINIコンバーチブル。時期は2月なのだ。しかし僕を乗せた飛行機が向かった先は「オーストリア」。寒いだろうと覚悟はしていたが、それどころか現地は真っ白な雪に包まれていた。
しかし、それは新型MINIコンバーチブルの開発陣にとって、狙い通りの事態だったようだ。掲げられたコミュニケーションワードは「ALWAYS OPEN」。そうまで言うなら、降ろしていくしかない。クルマを受け取ってソフトトップを開け放つと、さっそく現行モデルとの大きな違いが目に入った。
それは従来、リアシートの後方にそびえ立っていたロールバーが、随分目立たなくなったということ。よく見ると頭だけは出ているが、折り畳まれたソフトトップに隠れて、普段はほとんどその存在が気にならなくなった。これはロールバーが、従来の固定式から、横転などの危険を感知した際に自動的に展開する格納式へと改められたことによるもの。これによってリアビューが俄然スッキリしたのである。
こうした機構を採用しながらも、ラゲッジスペースは犠牲になるどころか5Lとはいえ拡大している。容量はオープン時で125L、クローズ時で175L。分割可倒式リアシートを倒せば、この時には現行モデルの55L増しとなる最大660Lの荷物を飲み込むこともできる。
用意されていたのはクーパーSのMT仕様。ウインタータイヤを履いていたため厳密には評価はできないが、それを差し引いたとしてもボディの剛性感は相当なものだったと言うことができる。荒れた路面でもギシギシ、ワナワナすることは皆無。しかも新型MINIのシャシは、従来のようにリアが鋭く突き上げることもないから、どんな場面でも快適さが保たれる。
当然、それはフットワークの面でも好印象にも繋がっている。まず心地良さを覚えたのはステアリングフィールの良さ。滑る路面でも繊細な操作にしっかり応える絶妙な手応えは、電動式であることを忘れるほどだ。
簡単なテストトラックで攻めて走らせた時も、申し分のない仕上がりにただ感心するのみだった。DTCを駆使してのスポーツ走行を夢中になって試していたら、これがコンバーチブルだということを、すっかり忘れてしまったほどである。
今回はゲストとして1967年のラリー・モンテカルロのウイナーであるラウノ・アルトーネン氏が招かれており、その妙技を助手席で体験する機会もあったのだが、スパイクタイヤを履かせて、左足ブレーキを駆使しての本格的なスポーツ走行にも、新型MINIコンバーチブルは余裕で応えていた。ちなみにこの時も当然、トップは開けたままである。