顧客とのコミュニケーションに専念できる環境づくりのために
ボルボの販売台数はここ数年で好調を示している。2016年1月に登場した現行型XC90に始まった新世代ボルボデザインや、電動化モデル(プラグインハイブリッド/マイルドハイブリッド)が日本市場でも受けているからだ。従来からのラインアップは一新されて、さらに2020年11月には用意されている全グレードの電動化を完了するなど、先進的イメージも強い。
こうした販売台数の増加はメーカーや販売店などにとって嬉しい話題である反面、顧客とのコミュニケーション減という大きな課題も生じるのだという。一見関係の薄そうなふたつだが、新車販売台数が増えると、営業スタッフは納車準備や納車説明などに追われ、また技術スタッフはディーラーオプション品の装着やコーティングなどといった納車整備も増える。
つまり既存顧客とじっくりコミュニケーションをとる時間が減り、車検や一般整備にかかる時間も伸びてしまうというのだ。
そこで顧客対応に専念できる環境づくりのため設立されたのが「埼玉サービスセンター」だ。ここでは新車納車の準備を一手に担うことにより、店舗スタッフによる顧客との接点を増やしてニーズを聞き、そして整備時間を短縮することで、総合的に顧客満足度を向上させるというのだ。さらにここは、納車までのモータープールとしても機能する約260台分の大きな収容力があり、店舗運営の効率化にもひと役買うという。
埼玉サービスセンターはボルボ・カー・ジャパンによって運営され、東京・神奈川の直営店で販売された車両が入庫することになる。ボルボとしては日本で初の事業であり、今後大都市圏への展開も視野に入れて検討したいという。
納車整備だけじゃない埼玉サービスセンターの役割
さらに、この埼玉サービスセンターには作業リフト(8機)はもちろんのこと、車検検査ラインやアライメントテスター、板金用リフト(3機)、フレーム修正機、ペイントブース(2機)、調色用ミキシングマシーン(2機)など、世界トップクラスの様々な設備を完備する。当然これらは新車用に用意されたものではなく、これまで店舗で行われていた作業、また外注へ出していた修理を集約するためのマシンたちだ。
板金塗装や重整備、中古車の納車整備、そして中古車の販促素材となる写真の撮影スタジオなど、その役割は多岐にわたる。そして今後、さらに電気自動車整備の役割も担うことになる。ボルボは電気自動車(BEV)であるC40を日本市場でも2021年秋に発表するとしており、納車が始まればEV専用の新たなサービスメニューも増えることになるはずだ。そうした先進技術に対応する中心的サービス拠点としての機能も期待されているという。