「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は、最新のプジョーのフラッグシップセダンである「508」から、203や504など歴代のミドルセダンを振りかえってみよう。(タイトル写真は、上が203、下が現行型508)
戦後のプジョーは「203」が出発点だった
過去をふりかえると、500シリーズというのは、プジョーの伝統的な3ケタ車名モデルとしては意外に歴史が新しい。最初に誕生したのは1968年の504であり、しかも次の505の後しばらく欠番になって、2010年の先代508で久々に復活している。もっとも、今は最上級の600シリーズと下の400シリーズも欠番で、508がそれらもまかなっており、まさにセダン不遇の時代といえそうだ。
504はそれまでの400シリーズから発展して誕生したモデルで、さらにさかのぼると戦後最初に出た、1948年の203が出発点になっている。203は、数字こそ200番台だが、300か400でもよさそうなくらいの中級モデルだった。プジョーは戦争中に受けた損害が大きく、終戦後の当初は1モデル体制で操業するしかなかった。
その際、当時のフランスで自動車に対して行われていた課税基準「課税馬力」のCV(馬力)区分においても、他メーカーと住み分けられることになった。同じくフランスメーカーのシトロエンは、税制で2CVクラスにあたる「2CV」と11CVクラスの「トラクシオンアヴァン」を、そしてルノーは4CVクラスである「4CV」をラインアップしていた。こうしたモデルたちと真っ向から競合しないように、プジョーは6CVクラスにあたる「203」を開発したのだ。
戦後のプジョーは当面、この中級クラスの1モデル体制を展開していくことになった。ただし、段階を追って復興した市場に対応するよう上級化を図る。1955年に投入したのが7CVクラスの「403」であり、1960年の8CVクラス「404」である。