「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、無限がカスタマイズしたホンダ フィット RSだ。
腰高感が消えコーナーでの安定感も高まった
走ってみて感じたのは、その走りっぷりは意外なほどしなやかだったということ。ショックアブソーバは減衰力非調整タイプだが、スポーツに振り過ぎた感もなく路面への追従性はかなり優れている。これなら普段使いでも満足できるだろう。おそらく同乗者からクレームがつくこともないはずだ。
それでも、スポーツ性はかなり高い。車高が前後とも20〜25mmダウンされた足まわりのおかげで、「低重心」に感じられるのもいい。フィットは着座位置が高いこともあって、感覚的に腰高なイメージも強い傾向だが、この足まわりを装着するとそれが解消され、コーナリングが楽しくなる。
さらに感心したのは、前後の過重バランスがノーマルよりフロント寄りになり、さらにリバウンドスプリングが装着されたことで、コーナリング中のトラクションが増していることだ。初期の回頭性に加えて旋回加速中にリアに過重が移り過ぎないところが絶妙だ。
さらに、エアクリーナーとマフラーが、この感覚をより高めてくれる。エンジンのレスポンスが良くなり、操りやすさが増している。これらの相乗効果で、見ても走っても楽しい、無限ならではのフィットRSが完成していた。
■ホンダ フィット RS(ベース車両) 主要諸元
●全長×全幅×全高:3915×1695×1525mm
●ホイールベース:2500mm
●車両重量:1050kg
●エンジン種類:直4 SOHC
●排気量:1496cc
●最高出力:88kW<120ps>/6600rpm
●最大トルク:145Nm<14.8kgm>/4800rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:17.4km/L
●タイヤ:185/55R16
●当時の車両価格(税込):169万8000円