インタークーラーを装着したスカイラインRSターボCの登場
![画像: ターボCはグループCレーシングマシンになぞらえられるが、クールな大人の走りも意味する。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2021/07/14/f051b264edf28f6b86aa10f981e84f8683dc9148.jpg)
ターボCはグループCレーシングマシンになぞらえられるが、クールな大人の走りも意味する。
究極のDR30スカイラインが2000ターボインタークーラーRSだ。登場は1984年2月のこと。世界初のインタークーラー付きターボをFJ20Eに装着したことで最強の名を欲しいままにした。
それまでのパワーユニットであるFJ20E-Tは、インタークーラーレスターボだった。もちろんこれでも吸気効率のアップは可能だが、空気は圧縮されると温度が上がり密度が低くなる特性を持つ。このためただ過給を行っただけでは、効率はイマイチだ。
2000ターボインタークーラーRSでは、一度圧縮した吸気を空冷式インタークーラーに通すことによって再び冷却し空気密度を高めた。結果として燃焼室への混合気の充填効率が上がり、パワーアップした。
ただ、やみくもにパワーを追い求めたというよりは、低・中回転域でのトルクを増大させ、実用走行域でのトルクを増大させ、実用走行域でのドライバビリティの向上を図ることに重点を置いたセッティングだったのも特徴だ。
![画像: フォルムはシリーズを通して同一。ターボCと認識できるのは、この角度ではサイドデカールのみだ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2021/07/14/ce48e850b484f94c1e1a4fc6956e8f4e6ccf3b45_xlarge.jpg)
フォルムはシリーズを通して同一。ターボCと認識できるのは、この角度ではサイドデカールのみだ。
エンジン本体の圧縮比向上に重点をおき、ターボチャージャー自体も低速側を重視したものに変更している。結果として、より低回転からリニアに過給が立ち上がる性格となった。ベースとなるパワーユニットの基本性能を活かす方向ということでは、現代的なダウンサイジングターボに通じるスタンスを取ったといえる。
そのスペックは、最高出力205ps/6400rpmで、1L当たり出力は103.0psとなり、当時の国産2000ccクラス最高の出力と、最大トルク25.0kgm/4400rpmという強力なものとなった。それに加えて、燃料経済性の向上(10モード燃費10.4km/Lで従来型のターボRS、RS-Xよりも0.2km/L向上)も達成した。
ちなみに2000ターボインタークーラーRS、RS-Xは、RS「ターボC」の通称が与えられた。このゆえんは、当時人気となっていたグループCによる耐久レースで活躍したスカイライン ターボCによるところが大きいが、そのほかにもインタークーラーのスペルからとったC、およびクール(Cool)な大人の走りのイメージからきている。
![画像: 4ドアセダンにもターボCは設定された。エアダムスカート左端のエアインテークはHTと同一となる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2021/07/14/16252fdcf0907362338d18f2c10a4fd0e90330df_xlarge.jpg)
4ドアセダンにもターボCは設定された。エアダムスカート左端のエアインテークはHTと同一となる。
同年8月には、世界初の点火システム「プラズマ・スパークシリーズ」をインタークーラーターボRS、RS-Xに設定した。
この機構はエンジン内部で点火する際、スパークプラグのギャップの間に長時間の放電を行い、強力な点火エネルギーを発生させるもの。エンジン回転数に応じて、放電時間は電子制御されていた。基本的にはエンジン内の燃焼状態を常に最適に保つことを狙いに開発した、技術的挑戦だ。
時を同じくして「2000ターボ インタークーラーRS-X オートマチック」が設定された。AT仕様車は、それまでにもRS-X系に設定されていたが、当初インタークーラーターボ仕様車はMTのみだった。「パワー・エコノミー自動切換式電子制御OD付きフルロックアップオートマチック」を組み合わせたAT車で、スポーティさと快適さを両立させた。
![画像: タービン側からのパイプは画像右下のインタークーラーに向かい、さらにインテークマニホールドに導かれる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2021/07/14/b5610e72ee96e30c2ae8526c041871d1dc0f8b15_xlarge.jpg)
タービン側からのパイプは画像右下のインタークーラーに向かい、さらにインテークマニホールドに導かれる。
この後、1985年8月にはフルモデルチェンジで7代目となるR31スカイラインへ引き継がれることになるが、DR30人気は以降も続くことになる。
日産 スカイライン2000ターボインタークーラーRS 2ドアハードトップ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4620×1675×1360mm
●ホイールベース:2615mm
●車両重量:1205kg
●エンジン:直4 DOHC+ターボ
●排気量:1990cc
●最高出力:205ps/6400rpm
●最大トルク:25.0kgm/4400rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:FR
●10モード燃費:10.4km/L
●車両価格(税込):247万4000円
※1984年2月時点での仕様
日産 スカイライン2000ターボインタークーラーRS 4ドアセダン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4620×1675×1385mm
●ホイールベース:2615mm
●車両重量:1195kg
●エンジン:直4 DOHC+ターボ
●排気量:1990cc
●最高出力:205ps/6400rpm
●最大トルク:25.0kgm/4400rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:FR
●10モード燃費:10.4km/L
●車両価格(税込):241万9000円
※1984年2月時点での仕様
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